同一労働同一賃金コンサルティング
同一労働同一賃金に対応した人事制度改革
同一労働同一賃金といえば、非正規社員の処遇に関する問題と捉えられがちですが、そうではありません。実際には正社員の人事制度も含めて抜本的に見直すきっかけでもあります。法改正を背景に、これまで年齢給や家族手当といった属人的な要素で決まっていた「人基準」の処遇体系から、職務や成果などの「仕事基準」の処遇体系へ見直しを行う企業が増えてくることが予想されます。
また昨今は、リモートワークや時差出勤といった働き方の柔軟性への対応、シニア活用など、多様な働き方を踏まえた制度への変革が求められています。
人事戦略研究所の同一労働同一賃金コンサルティングは、貴社が抱える人材課題や法的リスクについて現状把握をするところからはじめ、同一労働同一賃金やこれからの人材活用方針に合った人事制度改革をご支援します。
同一労働同一賃金への対応コンサルティングの流れ
Step1 現状分析
各種規定・資料分析/人件費・賃金データ分析/ヒアリングによる実態確認/同一労働性、待遇内容分析/関連法、判例との比較分析 等を実施します。
Step2 方針検討
分析結果報告/改善方針案(職務切り分け案、待遇変更案など)の作成、概算コストの算出などを踏まえ、人材マネジメントポリシーと照らし合わせて改善の方向性を検討し、方針書を作成します。
Step3 詳細設計
方針書に基づき、必要な資料作成や制度設計を行います。職務を切り分ける場合は、職務内容の明文化、待遇変更する場合はその賃金体系の設計と人件費シミュレーション等を行います。(非正規社員のみ改定する場合、正社員と非正規とも改定する場合など、改定内容に応じて実施期間が異なります。)
導入企業事例
メーカーA社(大企業:2020年4月法適用)
- 拠点:本社、営業所のほか、全国に工場が4箇所
- 正社員数1,200名、フルタイム契約社員数250名、パート社員数100名
- 契約社員、パート社員の主な仕事:工場の製造補助、検査補助、出荷補助
同社の工場部門では、慢性的な人手不足が続いており、特に契約社員・パート社員の採用、定着に苦労していた。契約社員・パート社員にも簡単な人事評価は行っていたものの、明確な給与制度はなく、賞与については慣習的に寸志として半期2~5万円程度を支給していた。同一労働同一賃金への法対応を契機として、必要な待遇改善を実施することで、非正規社員のモチベーションを高め、採用・定着だけでなく、スキルアップにつなげる方針で取り組むことになった。
現状の処遇比較
処遇など | 正社員(工場製造職) | 契約社員(約250名) | パート社員(約100名) |
---|---|---|---|
仕事の内容 | 製造、品質管理、出荷管理 | 製造、検査、出荷の補助業務 | 製造、検査、出荷の補助業務 |
仕事の責任 | 品質責任、各種業績指標責任 | 品質は正社員チェック | 品質は正社員チェック |
転勤の有無 | 有り | 無し | 無し |
職種間異動の有無 | 有り | 基本的に無し | 基本的に無し |
その他 | 交代勤務有り | 一部、交代勤務有り | 交代勤務無し |
基本給 | 職能給(管理職は役割給) | 工場ごと、各人ごとの月給 | 工場ごと、各人ごとの時給 |
昇給 | 人事評価に基づき定期昇給 | 非定期に実施 | 非定期に実施 |
賞与 | 業績・人事評価により年2回 | 寸志(2~5万円)を年2回 | 寸志(2~5万円)を年2回 |
退職金 | ポイント制退職金制度 | 無し | 無し |
時間外手当 | 1.30 | 1.25 | 1.25 |
深夜手当 | 0.30 | 0.25 | 0.25 |
休日出勤手当 | 1.45 | 1.35 | 1.35 |
役職手当 | 主任5,000円、係長15,000円 | 無し | 無し |
家族手当 | 配偶者10,000円、子5,000円 | 無し | 無し |
通勤手当 | 定期代を支給 | 定期代を支給 | 出勤日数に応じて実費支給 |
休日 | 年115日 | 年115日 | 年115日 |
有給休暇 | 入社時より年10日付与 | 法定通り(入社6ヵ月後に付与) | 法定通り(入社6ヵ月後に付与) |
傷病休職期間 | 勤続年数により、1年~3年 | 一律6ヵ月 | 一律6ヵ月 |
慶弔休暇 | 慶弔規程により取得可 | 一部、慶弔規程を適用 | 一部、慶弔規程を適用 |
慶弔見舞金 | 慶弔規程により支給 | 無し | 無し |
カフェテリア福利厚生 | 勤続により、年2~5万円分 | 無し | 無し |
主な制度改正点
- 契約社員・パート社員に、4ランクの職務等級を導入し、キャリアアップのしくみを設ける。
- 基本給(月給・時給)については、工場(地域)ごとに等級別の賃金表を設定し、職務評価により定期昇給を実施する。
- 賞与については増額し、年1ヶ月固定支給+最上位等級者には年0~1ヶ月(標準0.5ヶ月)の評価加算に改定する。
- 退職金については、勤続満5年以上の長期勤務者に対して、年3万円ずつ積み上げ、退職時に支給する。
- 時間外、深夜、休日出勤手当の割増率については、正社員に合わせる。
- 家族手当は勤続満5年以上の長期勤務者に対して正社員と同基準で支給する。
- 有給休暇は正社員に合せ、傷病休業期間は正社員に合せるが契約期間を上限とする。
- 慶弔休暇、慶弔見舞金は慶弔規程の中に、新たに契約社員・パート社員区分ごとに日数および金額を設定する。
- カフェテリア福利厚生は、勤続満1年以上に対して、年2万円分を適用する。
改定後の処遇比較
処遇など | 正社員(工場製造職) | 契約社員(約250名) | パート社員(約100名) |
---|---|---|---|
基本給 | 職能給(管理職は役割給) | 工場別・職務等級別の月給 | 工場別・職務等級別の時給 |
昇給 | 人事評価に基づき定期昇給 | 職務評価に基づき定期昇給 | 職務評価に基づき定期昇給 |
賞与 | 業績・人事評価により年2回 | 年1ヶ月固定+上位等級加算 | 年1ヶ月固定+上位等級加算 |
退職金 | ポイント制退職金制度 | 満5年以上に年3万円積上げ | 満5年以上に年3万円積上げ |
時間外手当 | 1.30 | 1.30 | 1.30 |
深夜手当 | 0.30 | 0.30 | 0.30 |
休日出勤手当 | 1.45 | 1.45 | 1.45 |
役職手当 | 主任5,000円、係長15,000円 | 無し(対象者が居ないため) | 無し(対象者が居ないため) |
家族手当 | 配偶者10,000円、子5,000円 | 満5年以上に正社員と同基準 | 満5年以上に正社員と同基準 |
通勤手当 | 定期代を支給 | 定期代を支給 | 出勤日数に応じて実費支給 |
休日 | 年115日 | 年115日 | 年115日 |
有給休暇 | 入社時より年10日付与 | 入社時より年10日付与 | 入社時より付与(日数基準) |
傷病休職期間 | 勤続年数により、1年~3年 | 正社員と同じ(契約期間上限) | 正社員と同じ(契約期間上限) |
慶弔休暇 | 慶弔規程により取得可 | 慶弔規程に新設 | 慶弔規程に新設 |
慶弔見舞金 | 慶弔規程により支給 | 慶弔規程に新設 | 慶弔規程に新設 |
カフェテリア福利厚生 | 勤続により、年2~5万円分 | 勤続1年以上に、年2万円分 | 勤続1年以上に、年2万円分 |
契約社員の職務等級と賃金変更例はノウハウページをご確認ください>>
Step4 導入支援
導入時は、変更点などについて社内へ周知する必要があります。弊社ではご要望に応じて社員向けの説明資料(ガイドブック)の作成から説明会実施サポートまで、社内の理解、浸透を図るご支援を行います。