目標管理 第3回 目的とテーマを決める(ステップ1~5)
目標管理
目標そのものを設定する前に第1回で紹介しましたように、夢や志といえるようなものを考えていきます。つまり、何のための目標か、何のための仕事か、働く目的は何か、というようなことです。これをはっきりとさせた上で目標に取り組んでいくことが順序としては望ましいでしょう。
とはいえ、その理想的な順序で考えていくことは少ないのも事実です。実際には、目的を考えてからというよりは、「チャレンジする目標」を考え、その後に「この目標は何のためにするのだろうか?」と深く考えていくことが現実的です。従いまして、ステップ2の『目標テーマ』を考えた後にステップ1の『使命と意義』を深く考えていくという順序になります。この「使命と意義」、つまり目的に立ち返らずに次へ進むと、単なる評価のための目標管理だったり、目標管理するための目標管理だったりという本末転倒になってしまう危険性が高くなります。
目標のテーマとその本来の目的が定まったあとに、ステップ3の『現状分析』へと移ります。現状分析をしっかりとしないまま目標に取り組む方も多くみられますが、現在の置かれている内外の状況、数値の水準などを把握しなければ、勢いだけになってしまったり、その後の具体的行動計画があいまいになったりと、そもそも行動がズレてしまいます。現状分析の手法やフレームは数多くありますので、自分に合ったものや共有しやすいものなどをベースに選択をして、視点を高く、視野を広くかつ正確に分析していきましょう。
目標の意義やテーマが定まり、現状分析ができたら理想のあるべき水準、理想の姿を定めます。それがステップ4の『達成水準』となります。達成水準は、「背伸びして届く・・・」「ジャンプして・・・」「到底考えらない水準・・・」など様々言われていますが、その目標が何か、上位方針との関係や重要度、時間軸にも左右されてきますので一概にはいえません。ジャンプすべき時も背伸び程度のときもあります。いずれにしても時間がたてば自然と達成できるような水準とはしないようにし、「理想の姿」をめざして適切なストレッチをかけていきましょう。
その後、ステップ5の『期限』を決めます。通常、企業活動をしていく中では決算期間や人事評価期間との兼ね合いもあり、期限は決まっていますので、日時単位で明確にすることで目標の期限の意識を高めます。また、短期で終わらないような目標の場合は最終期限、中間期限などを定め、何をいつまでにするのかを明確にしておく必要があります。
次回は、ステップ6~9の『具体的な実行計画を作る』を紹介していきます。
執筆者
佐藤 耕一
(人事戦略研究所 パートナーコンサルタント)
鉄道会社にて信号通信設備及びITシステムの設計業務を担当し、その後、教育事業会社で管理本部長として学習塾の運営と教育機関向け経営コンサルティング業務に携わる。前職では、電子部品メーカー系列のコンサルティングファームにて人事コンサルティング業務に携わるとともに、部長として同事業部門を率いる。国内外にて、中小企業から一部上場の大企業まで様々な規模を対象にし、あらゆる業種業態への人事諸制度の導入・運用実績がある。経営統合や分社化、経営破綻後人事、新設労働組合対応、海外法人、医療、介護、特殊法人など、豊富な事例と経験があり、特に運用に強みを持つ。
※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。
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