目標管理 第21回 目標の連鎖/方針の連鎖①

18回『OKR』、第5回『キャリアアップのための目標管理』で目標の連鎖について少し触れましたが、改めて原典を整理しておきます。
 
目標の連鎖の原典はドラッカー、マグレガー、シュレイ、オディオーンらによって提唱されたもので、後に企業やコンサルタントにより体系化されて今に至ります。これら原典の一つといわれているシュレイの『結果のわりつけによる経営』(Management by Results、1961年、邦訳1963年)で、「企業の業績を上げるためには、企業の目標に結びついた個人の目標に焦点を合わせることが最も大切である」と述べています。
 
この中で、
 

・各個人に「期待する成果」をわりつけ、個人の狙いが企業の目標に外れないようにする。

・経営者・管理者は、部下の能力を十二分に活用するため、部下がイニシアチブを発揮できるように、できるだけ自由裁量の余地を残さなければならない。

・結果に対する責任を浸透させ、企業の期待する結果に対し、個人的な使命感を持てば、企業全体に力がみなぎることになる。

 

とあり、さらに実際の手法にも言及しています。

 

①期待する成果を分割し、可能な限り完遂可能な個人に渡す。

②期待する成果は、定性的かつ定量的に表す。これを「目標」と名付ける。

③目標は上長が一方的に決めて押しつけるのではなく、部下の自主性を尊重する。

④目標達成のため、最大限の自由裁量を部下に任す。

⑤目標を渡された者は、完遂する責任を負う。

⑥期末に業績を評価する。

 

このように約50~60年前に目標管理において方針や目標、成果の連鎖をさせることは理論として確立されていますが、実際に「会社経営」「部門経営」においてしっかりと仕組化・運用定着しているケースは稀というのが現実です。目標管理制度自体が上手くいかない原因も含めて、次回に探ります。

※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。

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