コーチングを実践しよう④ ~誘導型の質問~
教育・能力開発
コーチングを始めたばかりの上司の方が陥りやすい問題として、「誘導」とも受け取れる質問をしてしまうケースです。
例えば営業計画の目標設定を行う場合、
上司: 「君の今年の目標は?」
部下: 「はい、新規開拓12件を目標にしようと思います。」
上司: 「具体的な行動計画を話して」
部下: 「そうですね。んー、まず月10件以上は新規先に訪問しようと思います。」
上司: 「そうか、なるほど。だけどどうだろう?君の昨年の新規開拓の実績は6件だよね。それに対して、訪問件数は月10件ペースだよね。すると12件の新規開拓をするためには、訪問件数はどのくらい必要かな?」
部下: 「・・・・・・・」
明らかに「月20件の訪問件数が必要」と言わんばかりの質問です。
拡大質問を使ってはいますが、部下の心境はどうでしょうか。恐らく誘導されていると感じているのではないでしょうか。
上司としては、「コーチングは質問をしないといけない」と思って、一生懸命考えた質問なのだと思いますが、これでは部下にとって「押し付けられた目標」となってしまい、コーチングの大原則である「答えは相手の中にある」から大きくズレてしまいます。
誘導型の質問にならないようにするポイントは、「質問はできる限り短くする」ことがポイントです。
「他に何をすればいいと思う?」
「制約率を上げるためには何が必要かな?」
など、焦点を絞った質問を投げかけてみましょう。
また前回に記述しましたが、部下から思ったように答えが出ない時には、無理に「質問」をしようとせず、率直に「提案」してみましょう。
執筆者
川北 智奈美
(人事戦略研究所 マネージングコンサルタント)
現場のモチベーションをテーマにした組織開発コンサルティングを展開している。トップと現場の一体化を実現するためのビジョンマネジメント、現場のやる気を高める人事・賃金システム構築など、「現場の活性化」に主眼をおいた組織改革を行っている。 特に経営幹部~管理者のOJTが組織マネジメントの核心であると捉え、計画策定~目標管理体制構築と運用に力を入れている。
※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。
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