コーチングを実践しよう⑤ ~ワンポイントコーチング~

コーチングを実践するにあたって、もう1つお伝えしたいことがあります。それは、「コーチングはワンポイント活用する」ということです。
 
以前も述べましたが、コーチングを学ぶとほとんどの管理者の方が、ぜひ取り入れてみよう、と現場の部下指導で早速実践いただきます。ところが、「部下からなかなか答えが返ってこない」「時間がかかりすぎる」ということで、道半ばで挫折してしまい、気がついたらいつも通り説教のようになっていた・・・というお話を聞くことがあります。
「忙しい現場で、それほど時間をかけていられない。」これは、なかなか切実な問題です。 またビジネスの場面において、業務経験の浅い部下に指導をする場合、「どうすればいいと思う?」と聞いても、答え出にくいこともあるかと思います。
 
 
そこでおススメしたいのが、ワンポイントコーチングです。
 
部下:「先日の得意先A社さんの○○の案件ですが、どうしましょうか?」
上司:「そうだな、俺の考えとしては、△△の方法と、××の方法と2つあると思うが、どちらがいいだろう?」
部下:「そうですね。××の方がいいのかな・・・と思いますが。」
上司:「どうして××がいいと思うの?」
部下:「はい、先方の担当者の方からのお話では・・・・・・・」
 
といった方法です。初めは上司が限定質問を使って、2つの方法論(答え)を出していますが、部下に選択を求めた上で、その理由について拡大質問を使って確認しています。
 
コーチングを活用する上で肝心なことは、部下に考えさせること、つまり問題解決力、判断力を向上させることであり、ビジネスにおけるコーチング導入の1つの目的でもあります。まだ経験の浅い部下に無理やりコーチングばかりでアプローチする必要はありません。時には、「ティーチング(指導・指示)」や「アドバイジング(助言)」も必要です。
 
これは私の個人的な考えではありますが、コーチングを学んでぜひ活用してもらいたいものの、それは上司の方にとってのひとつの「腰道具」であり、コミュニケーションパターン・幅を広げることに過ぎないのだと感じています。
 
重要なことは、部下の成長段階に合わせた「部下の成長のためのコミュニケーション」が行われることであり、「ティーチング」「アドバイジング」「コーチング」それぞれのアプローチ方法を「上司が選択しながら使える」ことではないかと思います。

執筆者

川北 智奈美 
(人事戦略研究所 シニアコンサルタント)

現場のモチベーションをテーマにした組織開発コンサルティングを展開している。トップと現場の一体化を実現するためのビジョンマネジメント、現場のやる気を高める人事・賃金システム構築など、「現場の活性化」に主眼をおいた組織改革を行っている。 特に経営幹部~管理者のOJTが組織マネジメントの核心であると捉え、計画策定~目標管理体制構築と運用に力を入れている。

※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。

バックナンバー