会議の有効活用
教育・能力開発
前回までは、コーチングを活用して会議を有意義なものにしていく、という観点でお伝えしてまいりました。今回は少し視点を変えて「会議の効率化」について考えてみたいと思います。
中小企業では、マネージャーのほとんどがプレイヤーとしての仕事もこなしています。そのため社内会議が夜に始まり時間外労働を増やす要因となっている、或いは出席者の日程が合わずに会議が開催できず、問題解決が先延ばしになることがあります。
そこで、改めて会議効率化のポイントを挙げてみましょう。
1:アジェンダを作成し、事前に送付する
会議内容は事前に出席者にメールで配信しておきます。またアジェンダの内容は、テーマを羅列するのではなく、「何を決めるのか」「どんな意見交換をしたいのか」に焦点を当てて作成します。参加者が事前に意見をまとめておけるので、会議中に考える時間が少なくなり、効率的に進めることができます。考えをまとめるためには、せめて前々日には送付しておくとよいでしょう。またアジェンダ作成の際は、各議題の検討時間を事前に決めておきます。参加者の会議全体の構成イメージがつき、当日も時間を意識しながら意見を述べることにつながります。
2:時間に対する意識改革を行う
次に会議の進め方です。会議ではしばしば「途中に話が脱線する」、「一人の発言が長引く」といった現象が起こります。これらを防止するためには、参加者の意識改革が不可欠です。そのための物理的な手段として、
・会議は立って行う
・会議中のPC、スマホ持ち込みや飲食を禁止する
などがあります。また
・進行役は部外者に任せ、時間通りに進めることに軸をおいてもらう
ことも有効です。進行役には目的に沿って、時間通りに会議を進めることを主として意識してもらうことで、無駄な脱線話やひとつの議題にとらわれてしまうことを防止します。
発言が長くなりがちな風土であれば、1人の発言時間をストップウォッチを活用して管理することもひとつの方法です。初めは少し抵抗があるかもしれませんが、慣れてくるとストップウォッチがなくとも、全員が議題や時間を意識できるようになります。
またアジェンダを配布しているにもかかわらず、指名後に考えている参加者がいれば、「あとで指名するので考えておいてください」と促し、”事前準備が可能なこと”に時間を費やさないようにします。
特に中小企業においては、「意識づけ」がポイントです。「開始時間が過ぎても参加メンバーを待っている」、「時間が過ぎても話し合いが尽きるまで終わらない」、といった現象が生じていれば、一度意識改革に取り組んでみましょう。
リーダーとして、できるだけ効率的な会議運営を行い、大事な議題に重きを置いて議論できるようコントロールすることも大事な役割ではないでしょうか。
執筆者
川北 智奈美
(人事戦略研究所 マネージングコンサルタント)
現場のモチベーションをテーマにした組織開発コンサルティングを展開している。トップと現場の一体化を実現するためのビジョンマネジメント、現場のやる気を高める人事・賃金システム構築など、「現場の活性化」に主眼をおいた組織改革を行っている。 特に経営幹部~管理者のOJTが組織マネジメントの核心であると捉え、計画策定~目標管理体制構築と運用に力を入れている。
※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。
バックナンバー
- 70歳雇用時代に向けたシニア社員の活用
- 2024年最低賃金引上げの動きと今後
- 2024年の初任給水準
- 2024年の中堅・中小企業の賃上げ動向 ~中小企業では賃上げに限界感!~
- 70歳までの雇用が義務化されるのは、いつごろか?
- 令和5年度(2023年度)最低賃金はついに全国加重平均で1000円超え
- 2023年の初任給平均の実態と今後
- 2023年の賃上げ動向 ~中小企業は二極化か?~
- 役職手当(役付手当)の相場と設計ポイント
- 中小企業が人事制度を導入する際の留意点
- 社員50名以下の中小企業が人事制度を作成する価値②
- 社員50名以下の中小企業が人事制度を作成する価値①
- 評価制度の改善に着手する前に②
- 評価制度の改善に着手する前に①
- オンライン会議活性化のポイント②