人事制度運用の課題

中小企業の人事制度を構築したあと、その制度がうまく機能していくかどうかは、
 
「社員さんの人事制度への信頼度」
 
がカギとなります。
 
特に中小企業の場合は、
 
・組織体制が安定しておらず、組織替えが多い
・評価者が未熟で、評価制度をうまく活用できない
・個々の不満が聞こえやすく、個別事情に対応したくなる
 
などの現象が生じます。

 

すると、例えば
 
・組織替えにより、評価項目の内容が合わなくなってしまう
・フィードバックが形骸化し、被評価者にとって有意義な課題設定の場にならない
・場当たり的な個別対応をしてしまい、本来の制度の主旨から外れていく
 
などの問題が起こってきます。
 
それらの問題が放置されていくと、
 
「適正な評価をしてもらっていない」
「何を頑張れば評価があがるのかよくわからない」
「制度があっても結局、言ったもの勝ちでしょ」
 
など、社員さんの不満が積もり、制度への信頼が薄れてしまいます。

 

そのような事象に陥らないためには、各問題をきちんと拾い上げ、必要な判断をしながら丁寧に解決をしていく必要があります。
 
・評価項目が合わないならば、その内容を修正する
・フィードバックがうまくできていないならば、その原因を確認し、評価者のスキルアップを行う研修や機会を設ける
・個別課題について評価者を集めて意見を聞き、対応の要不要を判断し、必要な対応のみを行う
など、必要であればトップがリーダーシップをとって解決向けて動いていただくことが重要です。
 
人事制度がうまく機能していない、と思われた場合、「社員さんが制度への信頼をもてているかどうか」を今一度確認してみてください。もし形骸化していれば、制度の細かな問題について、ひとつひとつ検討し、解決に向けて取組んでください。「制度への取り組みに対する会社の本気度」が伝わるとともに、制度への信頼が高まり、評価への納得感を得ることにつながります。

執筆者

川北 智奈美 
(人事戦略研究所 マネージングコンサルタント)

現場のモチベーションをテーマにした組織開発コンサルティングを展開している。トップと現場の一体化を実現するためのビジョンマネジメント、現場のやる気を高める人事・賃金システム構築など、「現場の活性化」に主眼をおいた組織改革を行っている。 特に経営幹部~管理者のOJTが組織マネジメントの核心であると捉え、計画策定~目標管理体制構築と運用に力を入れている。

※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。

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