目標管理における面談の目的

目標管理を導入しているが、いまひとつうまく機能していない、という課題をお持ちの企業は多いものです。具体的な課題としては、「目標がマンネリ化している」、或いは「面談が結果を確認する形だけのものになっている」「管理部門の目標設定が難しい」などが挙げられます。
ここでは、2つめに挙げた「面談」のところについて、少し考えてみたいと思います。
目標管理制度における面談とは、目標設定面談と進捗チェック面談に分けられます。目標設定面談については、以前からも取り上げていますので、今回は進捗チェック面談について掘り下げてみましょう。

 

まず、進捗チェック面談はそもそも何を目的としているのか?今一度考えてみます。
大きな目的としては、「設定した数値・成果目標について、具体的な進捗度合いを確認し、進捗状況に応じて行動目標・内容の追加・修正を具体的に確認すること」であるといえます。 ただ、記述した言葉を見ると非常に息苦しい感じがしませんか?
進捗チェック面談は、確かに前述の目的で行うものであり、進捗チェックが入ることで納期を意識して行動できる、という点で必要な管理方法のひとつです。ただし部下から見ると毎回の面談がやや重苦しく感じるものとなっているかも知れません。

 

そこで、今回は上司側の「面談の目的意識」について、もう少し枠を広げた捉え方をしていただきたい、という提案です。それは、面談は「サポート」であると意識です。
「進捗チェック面談」ではなく、「進捗サポート面談」という言葉に変換して考えていただきたいのです。 「進捗チェック面談」として捉えて行うと、どうしても目標や行動計画という「事」そのものに焦点が当たり、部下という「人」に焦点が当たりません。すると、
『来週はどんな動きをするのか?』
『どうすれば達成できるのか?』
『他の方法はないのか?』
など、上司の質問が「詰問化」してしまいます。
これでは、部下の中から価値あるアイディアやモチベーションは生まれてきません。

 

では「進捗サポート面談」として捉えるとどうなるのでしょうか?
あくまでも、部下の進捗をサポートするんだ、という意識を軸にもっていただくことで、
『どうだ、やってみて、うまくいってる?』
『何に悩んでいるの?』
『君はどうしたい?』
『何か相談したいことはないか?』
『私に協力できることはないか?』
など、部下である「人」の行動や悩みに焦点が当たってきませんか?

 

単に言葉だけの問題のようですが、「今日の面談は、進捗サポート面談だ」と意識することで、面談の主体者である上司の質問内容や言葉の選び方に変化が起こります。 また、社内用語としても「進捗チェック面談」から「進捗サポート面談」へ変更することで、部下側の心理ハードルも下がる可能性があります。

 

そうすることで結果的に、上司と部下の信頼関係強化や部下の面談に対する前向きな意識を引き出し、建設的なアイディアや行動へのモチベーションが生まれる有効な場として機能していくのではないか、と考えます。

執筆者

川北 智奈美 
(人事戦略研究所 マネージングコンサルタント)

現場のモチベーションをテーマにした組織開発コンサルティングを展開している。トップと現場の一体化を実現するためのビジョンマネジメント、現場のやる気を高める人事・賃金システム構築など、「現場の活性化」に主眼をおいた組織改革を行っている。 特に経営幹部~管理者のOJTが組織マネジメントの核心であると捉え、計画策定~目標管理体制構築と運用に力を入れている。

※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。

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