【就活生必見】年間休日を要チェック!-就活サイトや転職サイトの給与・報酬データの見方②-
採用・定着
就活生・求職者にとって、就職先の給与・報酬内容は非常に関心の高い項目だと思われます。
最近の新卒向け就活情報サイトや転職情報サイトでは、検索結果の一覧上で企業の給与・待遇を閲覧できる仕様になっていて、詳細なページを確認しなくても、他社と比較しやすい状態になっています。
しかし、詳細な企業ページの「採用後の待遇情報」や「給与・報酬情報」を見ても、自分の求める待遇なのかどうかの判断は、なかなか難しいものです。
例えば、次のような2社の求人情報があった場合、あなたはどちらが “良さそう” だと感じられますか。
本記事では、新卒入社される方や求職者に向けて、就活サイトや転職サイトの給与・報酬データ、採用後の待遇ページの見方を人事コンサルタント視点で解説します。ぜひ、企業内の人事担当者も、気にかけてみてください。
今回は、「年間休日を要チェック」編。休日が多く、給与が多いに越したことはありませんが、年間休日数の違いによって、どれくらい報酬に差があるのかを解説します。
「手当に惑わされるな!」編はこちら。
■企業が定める年間休日の平均はどれくらいか
年間休日の平均は、「令和3年就労条件総合調査(厚生労働省)」の資料によると、令和2年の年間休日総数の1企業平均は110.5日、労働者1人平均は116.1日となっています。
会社規模別にみると、次の通りです。
会社規模が大きさに比例して、年間休日も多いという傾向が見られます。
■とにかく稼ぎたい人は、年間休日を気にせずに支給総額で判断すればOK
とにかく稼ぎたい、多く働いてもいいから収入が多い方が良い、という場合においては、冒頭の例では、A社230,000円よりも、B社245,000円のほうが良い条件になります。単純に×12ヵ月分したものが年収です。(ここでは賞与などの支給は考えないものとします。)
年間休日とは、会社が定める1年間の休日数のことです。その支給総額の前提となる、休日数(労働日数)が提示されているだけですので、支給総額には関係ありません。
ただし、残業時間数によっては、支給総額に影響が出ます。冒頭の例では、残業代を計算するときの時給単価はA社のほうが良くなります。これは、この後の内容を読めば、お分かりいただけると思います。
■年間休日の違いによる、1日や1時間あたりの“タイパ”はどうなる?
2つの企業を比較した時に年収・月収が同額でも、年間休日数の違いによって、1日や1時間当たりの給与額が違う可能性があります。費やした時間に対する結果として、得られる賃金が多くなるわけですので、タイムパフォーマンスが良いほうを選びたい方は、この点を確認しましょう。
では、実際に試算してみます。統計情報の、企業規模1,000人以上の労働者1人平均年間休日総数119.7日というデータから、年間休日総数が多いケースを120日。
企業規模30~99人の労働者1人平均年間休日総数110.4日というデータから、年間休日総数が少ないケースを110日としてみます。
前提条件
・年間365日-年間休日総数120日=労働日数245日
・年間365日-年間休日総数110日=労働日数255日
・労働時間1日8時間、残業なし、うるう年は考慮しない
・月収は、年収 ÷ 12ヶ月 で計算
・日給は、年収 ÷ 年間所定労働日数 で計算
・時給は、年収 ÷ 年間所定労働日数 ÷ 8時間 で計算
・月ごとの休日数は考慮せず、平均して計算する
・賞与は考慮しない
年間休日数120日と110日では、年収250万円の場合においては、日給額に400円の差がでています。1日働いて、コンビニで嗜好品を買えるくらいの差があります。
■冒頭のA社とB社の場合はどうなる?
前提条件は、上記同様とします。
総収入はB社のほうが多くなりますが、日給・時給換算すればA社のほうが高い結果となりました。
昨今は、ライフワークバランスを重視される方も多いようです。支給総額だけでなく様々な情報から、自分の希望する待遇の企業を探してみると良いでしょう。
【参考】
令和3年就労条件総合調査(厚生労働省):
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/21/dl/gaiyou01.pdf
執筆者
西澤 美典
(人事戦略研究所 シニアコンサルタント)
前職の製造系ベンチャー企業では、営業・人事・総務・WEB制作担当等の実務に従事。
経営者の間近で幅広い業務に携わり、様々な企業や人との出会いを経て、「働く人々の毎日や職場を、より生きがいを感じることのできるものにしたい」という志を持ち、新経営サービスに入社。
経営者と共に、人事制度をキッカケにして、組織で働く人を元気にできるコンサルティングを心掛けている。
設計段階から、先々の運用をイメージした、組織になじみやすい制度づくりを行っている。
全米・日本NLP協会認定 NLPマスタープラクティショナー。
※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。
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