【例文あり】職種別の人事評価・人事考課コメントの書き方(KPTを使おう)

人事評価・人事考課のコメントは、部下のマネジメント・人材育成につながる重要な記載事項です。しかし、コメントの書き方についての指導を行わず、内容については各評価者・考課者の裁量に任せている企業が多いと思われます。

以前から「評価 書き方」「評価 コメント 例文」で検索され、弊社ノウハウページやブログにたどり着かれている方は少なくありません。昔から、評価者・考課者を悩ませている要素の一つのようです。

そこで今回は、フィードバックのフレームワークのひとつである「KPT型」に合わせて

コメント例を紹介します。ぜひこちらをベースに、ご自身のアレンジを加えてみてください。

 

KPTとは

 

KPTは、前述の通り、フィードバックのフレームワークの一つです。これまでの仕事や活動内容を、次の項目順に検討し、今後のアクションを決めるやり方です。
 
K(Keep):良かった点、成長した点、継続すべき点 など
P(Problem):改善すべき点、不足していた点 など
T(Try):今後取り組む点、成長課題 など

 

KPTの分かりやすい文例を挙げましょう。

業務の例ではありませんが、「2ヵ月で体重を5kg減量する」という目標を達成したフィットネスジムの生徒に、インストラクターがKPT型のコメントフィードバックをすると、次のようになります。

 

K:

過食傾向を把握し、食事量を抑制して間食を減らすことで、無事2ヶ月で5.1kgの減量に成功されましたね。今後も、間食の削減を継続しましょう。
P:

ただ、減量の方法を食事制限に限定し、摂取カロリーの抑制を意識しすぎたばかりに、空腹によって仕事やプライベートの活動に支障をきたすことがあったようです。
T:

摂取カロリーの抑制ばかりに注視するのではなく、今後は運動を取り入れて消費カロリーを増やしてみましょう。まずは、行きor帰りのバス通勤を徒歩に置き換えてみましょう。

 
職種別の人事評価・人事考課コメント例文

 

それでは、今回は3職種(営業職、生産・ライン職系、総務・事務職系)の人事評価・人事考課の例文をKPTに沿って書いてみます。

 

・営業職

目標:

下期において、〇〇エリア内の新規顧客からの受注を1件得る
K:

次々と明らかになった課題を乗り越え、〇〇エリアでの新規受注を1件得ることができました。上期は1人で思い悩み時間を使うことが多かったですが、今回(下期)からは上司への早めの報告・相談を心掛けてくれたことで、会社としての素早い判断をすることができました。
P:

一方、資料や情報の整理が後手に回っており、活動序盤の取組みを自分でも思い出せず、再度、調査や確認に時間を費やすことがありました。
T:

新規顧客からの受注獲得活動については、会社としてノウハウを蓄積していきたいところです。ここで得た知識や情報を整理して、社内のメンバーにどんどん展開してくれることを期待します。

 

・生産・ライン職系

目標:

上期において、プロジェクトリーダーとしてA・B・C工程の改善活動を行い、工場を代表して本社への報告発表をする
K:

本社への報告発表は大成功をおさめました。期初に事前に調査を行い、無理のない適切な計画を立てていたこと、隔週の進捗確認で遅れが判明した時点で、後に回さずしっかり対応しきったことが良かった点です。
P:

プロジェクトリーダーである〇〇さん(被評価者)が所属しているA工程は主体的な活動姿勢でしたが、B・C工程においては、やや受動的な姿勢が見られました。
T:

1人で他工程の全員に対して働きかけるのは大変だったと思います。今後は、各工程にミニリーダー的存在を設けて役割を与えるなどの進め方も必要と思います。人選については相談してください。一緒に検討します。

 

・総務・事務職系

目標

来期までの社内資料のペーパーレス化完了に向けて、マニュアルを作成する

K:

自分で一通りのマニュアルを作成した後、多くの人に確認を依頼し、その意見を反映して内容の見直しを繰り返していました。この結果、多くの社員に受け入れられる、わかりやすいマニュアルができたと思います。
P:

周囲の意見を取り入れようとしすぎたこと、1人で抱え込んでしまったことから、複雑になったり、時間がかかったりした部分も一部見受けられました。
T:

今後は必要に応じて、上司や業務の全体像を把握しているメンバーに相談しながら進めてみましょう。早めに解決できることも出てくると思います。
 
徐々に自分らしさを取り入れてみて
 

1から言語化することは、慣れていないとなかなか難しいものです。伝えたかった内容と類似のコメントがあれば、それをもとに、ご自身の言葉や実際のシチュエーションに置き換えて活用してみてください。

伝えたいことが言葉になって出てくるようになったら、アレンジしてご自身の言葉で書き進めてみましょう。きっと、気持ちのこもった、部下に伝わりやすいフィードバックが次第にできるようになります。

執筆者

西澤 美典 
(人事戦略研究所 シニアコンサルタント)

前職の製造系ベンチャー企業では、営業・人事・総務・WEB制作担当等の実務に従事。
経営者の間近で幅広い業務に携わり、様々な企業や人との出会いを経て、「働く人々の毎日や職場を、より生きがいを感じることのできるものにしたい」という志を持ち、新経営サービスに入社。
経営者と共に、人事制度をキッカケにして、組織で働く人を元気にできるコンサルティングを心掛けている。
設計段階から、先々の運用をイメージした、組織になじみやすい制度づくりを行っている。
全米・日本NLP協会認定 NLPマスタープラクティショナー。

※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。

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