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「現状分析・診断」のイロハ④

2015年09月20日 カテゴリ:分析・診断

執筆者:岸本 耕平

人事戦略研究所 コンサルタント

大学卒業後、大手パッケージソフトウェア会社に就職。企業が持つ人材価値の最大化の実現を目指し、人事管理ソフトの企画・開発に取り組んだ。新経営サービス入社後は、「理想をカタチにするコンサルティング」をモットーに、中小企業の人事評価・賃金制度構築に従事している。特に、中小企業ではなじみのない人事データの定量分析手法を用いての多角的な分析を軸にしたコンサルティングを得意としている。

前回は、人件費の妥当性を検証するプロセスについて述べました。今回は、人件費に「問題あり」と判断した際に、どのように原因を特定していくかについて解説します。


◇人件費を「変動費」と「固定費」に分類する

人件費は、売上高や利益と連動する「変動費」と、そうではない「固定費」に分類できます。変動費とは賞与や残業代、固定費とは基本給や家族手当、住宅手当等です。人件費に「問題あり」と判断した場合は、それぞれの性質を踏まえた上で「何が問題なのか」を特定します。具体的にチェックする観点は以下の2点です。


①変動費が人件費の「調整弁」として機能しているか

前回、付加価値高と人件費のバランスが常に一定に保たれていることが重要であるとお伝えしました。変動費は売上高・利益と連動し、付加価値高と人件費のバランスを保つための「調整弁」として機能することが理想です。具体的には、利益に連動して賞与が変動しているか、現場の仕事量(売上高)に残業代が連動しているか、といった具合です。人件費水準に異常が出た場合は、上記の観点で変動費をチェックしていきます。

よくあるのは、賞与支給が固定化されており、業績不調時に利益を圧迫するケース、現場が忙しい時もそうでない時も支給する残業代はほとんど変わっていないケース等があります。このように変動費が固定化している場合は、業績連動型賞与制度の導入や、現場に時間意識・コスト意識が芽生えるような働きかけを行い、是正に取り組む必要があります。


②固定費が右肩上がりに増えていないか

固定費は、売上高や利益の増減に関係なく、一定に保たれる性質があります。したがって、人員が一定であれば、固定費の総額は一定であることが理想です。逆に、人員が一定にも関わらず、右肩上がりに増加している状態は要注意です。業績が右肩上がりの状態であれば別ですが、そうでなければ5年先・10年先に人件費が利益を圧迫する恐れがあります。このような状態となっている場合は、給与テーブルや昇給方法に不具合が発生している可能性があります。具体的には、青天井に給与が上がっていくような給与テーブルを採用している等です。

給与水準や昇給は、社員のモチベーションに影響を与える重要な要素です。しかし、人件費の総枠が限られている以上、コストとのバランスを考慮する必要があり、問題があれば給与テーブルの設計や昇給方式の見直しを行うことが必要といえます。


次回は、賃金水準の分析方法をご紹介します。

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※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。