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「現状分析・診断」のイロハ②

2015年03月23日 カテゴリ:分析・診断

執筆者:岸本 耕平

人事戦略研究所 コンサルタント

大学卒業後、大手パッケージソフトウェア会社に就職。企業が持つ人材価値の最大化の実現を目指し、人事管理ソフトの企画・開発に取り組んだ。新経営サービス入社後は、「理想をカタチにするコンサルティング」をモットーに、中小企業の人事評価・賃金制度構築に従事している。特に、中小企業ではなじみのない人事データの定量分析手法を用いての多角的な分析を軸にしたコンサルティングを得意としている。

前回は「現状分析の概論」をテーマに、現状分析の目的や留意点、そして分析における3つの観点(人件費・人員・賃金水準)をお話ししました。今回からは3つの観点の1つである「人件費」に関する分析手法を掘り下げます。

(1)人件費分析の目的とその分析手法
 人事制度改定の目的は各社各様ですが、その目的を果たすためには、そもそも会社が存続することが大前提です。
 したがって、人事制度改定を進めるに際して、企業経営に対するインパクトが大きい人件費のチェックは欠かせません。
 人件費分析の主たる目的は、「業績と人件費のバランス」をチェックすることです。具体的には、
   ①業績が上がったときに、人件費も上がっている
   ②業績が下がったときに、人件費も下がっている
 といった、いわゆる「人件費コントロール」が実現できているかを、後述する管理指標をもとに検証します。

(2)人件費の管理指標
  人件費の管理指標として、「売上高対人件費率」が一般的です。自社の適正値を設定し、毎期もしくは四半期ごとで確認
 します。すでに活用されている企業も多いと思われます。ただ、これだけで人件費が妥当であるか、判断するのは危険で
 す。
 例えば、次のようなケースの場合、業績と人件費のバランスは妥当であるといえるでしょうか。
   ①売上高、人件費の総額は昨年並みで問題なかった。
   ②したがって、売上高対人件費率も昨年並みであり、問題なしと判断した。
   ③ただし、原材料費の高騰等で粗利は減少した。
 いかがでしょうか。上記のケースは、「問題あり」と判断するのが妥当です。人件費の源泉といえる粗利(≒付加価値高)
 が縮小したことになります。にもかかわらず、売上高対人件費率が一定であれば、明らかに人件費が営業利益を圧迫して
 いると判断せざるを得ません。
 以上のような、ミスジャッジをしないよう、人件費をチェックする際は、「労働分配率」を指標に加えることをおススメします。
 ご存知の方も多いと存じますが、労働分配率とは、付加価値高(≒粗利)に占める人件費の割合を示す指標です。
 付加価値高とは、企業の事業活動から創出した新しい価値のことです。付加価値高の計算方法は、中小企業方式と
 日銀方式の2つがあります。中小企業では中小企業方式を用いることが一般的で、売上高から仕入原価等の外部購入費
 を差し引くことで計算できます。
 労働分配率は、売上高対人件費率と比べると、やや複雑な計算を必要としますが、業績と人件費のバランスを確認する
 には欠かせません。労働分配率は概ね50%前後が標準とされていますが、業種によって異なります。人件費分析を行う際
 は、自社で適正値を決めた上で、売上高対人件費率と同様に、適正値を保つことが出来ているか否かを確認します。

今回は人件費分析の目的とその手法についてお話ししました。次回からは、人件費分析からどのように問題点とその原因を導き出すか、そのプロセスをお話しします。

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※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。