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賃金設計講座(3): 賞与制度について③

2015年02月10日 カテゴリ:賃金制度

執筆者:岩下 広文

人事戦略研究所 コンサルタント

大学卒業後、国内事業会社において人事・総務等の実務に従事。その後、人事アウトソーシング会社、及び、外資系大手コンサルティングファーム(※監査法人系)にて人事コンサルティング業務に従事した後、現職。人事評価・賃金制度構築や退職金制度設計だけでなく、組織・人事面における幅広いテーマでのコンサルティング経験を有する。人事の実務経験を活かした運用性の高い制度設計に定評がある。

前回のブログでは、賞与制度を設計する際の3つの観点(項目)について解説した。今回のブログでは、1つ目の観点である「賞与算定方式の種類」について解説していくこととする。

■ 賞与算定方式の種類
ここで言う「賞与算定方式」とは、社員各人に支給する個人別賞与額の算定方式のことを指している。賞与総額としての「賞与原資」を算出するルールについては、ここには含めないものとする。(※これについては、次々回のブログにて別途解説させていただく。)
前回のブログでも解説した通り、個人別賞与支給額の算定方式としては、一般的に以下の3種類に区分することができる。
 <1> 給与連動方式
 <2> 別テーブル方式
 <3> ポイント制方式


上記3つの方式について、それぞれの概要や特徴を以下の通り整理したので、参考にしていただきたい。

<1> 給与連動方式
これは、給与の一部に、会社業績に基づく支給月数や個人評価による係数などを乗じることで賞与額を算出する方法である。算定基礎額となる給与については、基本給や役職手当がその対象となるケースが多い。
日本企業で古くから採用されている方式であり、現在でも多くの企業がこの仕組みをベースとしている。「賞与は●ヶ月分」といった会話が一般的になされることからも、この給与連動方式が日本企業に根付いた仕組みであることが理解できるであろう。
なお、社員にとって分かりやすいというメリットがある反面、賞与額が年功的になりやすいというデメリットがある。従って、成果主義や実力主義の人事制度を導入する際には、この給与連動方式の賞与制度を廃止するケースも多い。

<2> 別テーブル方式
上記1の給与連動方式が年功的になりやすいのは、給与を算定基礎額とするため、毎年の昇給が賞与額に反映されてしまうからである。支給月数や個人評価に変わりはなくても、給与がアップすればそれだけで賞与額もアップしてしまうことになる。
上記の問題を回避する仕組みとして採用されているのが、「別テーブル方式」である。これは、毎月の給与とは別に、あらかじめ別テーブル等によって算定基礎額を設定しておく仕組みである。毎年の昇給から賞与を切り離すことで、より個人評価(実績)を重視することが可能となる。

<3> ポイント制方式
3つ目の算定方式である「ポイント制」とは、あらかじめ等級・役職や人事評価に基づいて付与ポイントを設定しておき、そのポイントに1ポイント当たりの単価を乗じることで、各人の賞与額を算出する仕組みである。なお、ポイント単価は各期の会社業績や部門業績によって変動するのが一般的である。
この仕組みも、上記2と同様に、毎月の給与とは無関係に支給額が算出されることになる。給与がいくら支給されているかに関係なく、等級・役職と人事評価によって賞与額を決定するため、実力主義の色濃い仕組みであると言える。また、別テーブル方式と比べた場合のメリットとしては、会社業績によってポイント単価を細かく調整しやすいため、あらかじめ決めておいた賞与原資の中で過不足なく配分をしやすいという利点がある。
なお、ポイント制のデメリットとしては、給与連動方式や別テーブル方式よりも社員にとってわかりづらいという点が挙げられる。


以上、代表的な3つの個人別賞与算定方式について解説したが、前回も述べた通り、それぞれに特徴/性質やそれによるメリット/デメリットがあるため、賞与に対する会社の考え方や運用性などを考慮して、自社の方針/実態にマッチしたものを採用していただきたい。


次回(以降)のブログでは、賞与制度を設計する際の2つ目の観点である「評価間のメリハリ」について、具体的な設計ポイントや留意点などを解説していきたいと思う。

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※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。