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M&Aにおける人事制度の統合(2)

2009年02月27日 カテゴリ:人事制度

執筆者:山口 俊一

人事戦略研究所 所長

人事コンサルティング、講演、執筆活動を中心に活躍している。職種別人事をベースにした独自の発想と企業の実状に沿った指導により全国からコンサルティング依頼を受け、定評を得ている。現在までに中小企業から一部上場企業まで、200社以上のコンサルティング実績を持つ。主なコンサルティングテーマは人事評価・賃金制度の構築、組織運営など。

2000年以降、日本でもM&Aは急激に拡大してきました。

M&A支援のレコフ社によると、それ以前は年間数百件程度しかなかった 日本のM&A件数が、ここ数年は年間3,000件近くで推移しています。

世界的には、金融危機の影響でファンドが絡んだ案件は激減していますが、 日本国内に限定すると今年に入っても高水準となっています。 また、最近の円高で、海外企業を買収するチャンスと捉える日本企業も少なくありません。

日本国内に限っても、金融機関の買収・合併は、銀行名を覚えるのに苦労するくらい頻繁に起こりました。 大手企業の中には、グループ経営の見直しにより、子会社を統廃合するところも目立ちます。

一方で、中小企業においても、後継者難や業績不振から、身売りするケースも一般化しているのです。

 

さて、企業が買収や合併を行えば、人事問題も必ずついて回ります。

まず、給与水準が違います。役職や等級、人事評価、その他さまざまな諸制度も異なります。 1つの会社にしておきながら、いつまでも異なる基準を並存させておくわけにもいきません。

例えば、給与水準であれば、高い方に合わせるのか、低い方に合わせるのか、 中間の水準を設定するのか、それとも違うままにしておくのか、といった選択肢があります。

ただし、そのいずれを採るにしても、問題が発生します。

高い方に合わせれば、社員は不満を持ちませんが、 人件費が上昇してしまいます。低い方や中間の水準にすれば、高い方の社員が不満を持ちます。 そうかといって、しばらく放っておけば、今度は低い方の社員が不満を抱くようになります。

幸運なことに、両社の給与水準がほぼ同じであったとしても、簡単ではありません。 通常、企業が合併すると、経営者は総務部門や経理部門といった管理部門は統合し、効率化しようと考えます。 すなわち、人員を減らす方向に動きます。 一般的にM&Aが、事業の相乗効果とコストの効率化を狙っている以上、当然のことです。

これまで私が見聞きしてきた経験からは、企業のM&Aが人材のモチベーションを上げる方向に作用することは、 ほとんどありません。日本電産の永守社長のように、危機的状況にある企業を買収し、 自ら建て直し、そこに働く従業員の意識も待遇も引き上げられるようなケースは、ごくわずかと言ってもいいでしょう。

とはいえ、難しい局面は、人事担当者やコンサルタントの腕の見せ所でもあります。

M&Aにおける人事の役割は、

1.まずは、合併・買収後の社員のモチベーションを極力落とさない

2.新会社のあるべき人事方針・人事制度を構築する

3.将来的に、強い組織、人材のモチベーション・能力を高める

といった流れになるでしょう。

次回は、実務的な人事制度統合の手順について、見てみることにしましょう。

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※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。