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M&Aにおける人事制度の統合 (1)

2008年12月12日 カテゴリ:人事制度

執筆者:山口 俊一

人事戦略研究所 所長

人事コンサルティング、講演、執筆活動を中心に活躍している。職種別人事をベースにした独自の発想と企業の実状に沿った指導により全国からコンサルティング依頼を受け、定評を得ている。現在までに中小企業から一部上場企業まで、200社以上のコンサルティング実績を持つ。主なコンサルティングテーマは人事評価・賃金制度の構築、組織運営など。

 

野村ホールディングスが、経営破綻したリーマン・ブラザーズのアジア、欧州、中東地域の投資銀行部門を買収しました。この買収が成功するかどうかは、何年も先にならないと分かりません。ただ、人事の観点から見ると、かなり面白いケースです。

 

一般に、企業がM&Aを行う際は、対等合併のような場合を除いて、力関係によって人事も左右されます。多くの場合、吸収する側の方が、企業力が強く、社員の給与水準も高いことが考えられます。

例えば、パナソニックが三洋電機を子会社化すると報じられています。会社四季報によるとパナソニックの平均年収は846万円、三洋電機は674万円となっています。

この場合、恐らく三洋電機の社員の給与水準は据え置きか微増くらいで、スタートするでしょう。これなら、三洋電機の社員としては、少なくとも収入が確保されるわけですから、一安心です。

一方、パナソニックの社員にしても、M&Aが原因で自分たちの収入が減少するようなことがなければ、問題ありません。

ところが、リーマンの給与水準は、平均で野村の3倍と言われていますので、話がややこしくなります。しかも、優秀な人材の流出を避けるため、これまでの年収を保障したと伝えられています。

これが全く違う業種の会社であれば、まだ救いはあります。小売業が金融機関を買収したとしても、「金融業界は賃金水準も高いし、自分が金融部門の仕事ができるわけでもないし」と吸収した側の社員も、納得するための理由づけが可能です。

これが、野村-リーマンの場合は、同業界で、今後は同じ部署に配属されることも十分考えられます。野村の社員からしてみれば、「何で破綻して、ウチが助けた会社の社員が、自分の何倍も年収をもらうんだ」となり、納得できません。

しかも追い討ちをかけるように、12月に入り、野村はマーケット低迷を理由に人員削減を発表しています。野村社員の怒りは、想像に難くありません。

このようなケースは、かなり稀ですが、M&Aが上手く行かない理由の1つに人事問題があることは間違いありません。

1つの会社の人事だけでも難しいのに、それが複数あるわけですから、人事制度を統合するにしても、別々にしておくにしても、さまざまな問題が発生します。

次回以降では、企業がM&A(合併・買収)する際の、人事制度統合について考えてみることにしましょう。

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※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。