コーチングの基本スキル 質問② ~具体化する~
教育・能力開発
前回、質問のスキルとは、コーチングをする際に、必要な道具という表現をしました。今日は、まず一つ目の道具として「具体化する質問」についてご紹介しましょう。
コーチングとは、クライアントが自分で答えを見つけるプロセスをサポートすることが目的です。ですから実際にコーチングを進めていく上では、コーチがよい質問しながら、クライアントの考えを深める必要があります。
日常生活の中で、漠然と考えたことはあったけれど、あまり深く考えていなかったということがありませんか?
例えば、「そのうちやろうと思っていること」を、ひとつ想像して下さい。
「ダイエット」としましょう。
・何キロ位、いつまでにダイエットしたいと思っているか?
・とくに体のどこの部分について、痩せたいのか?
・ダイエットする方法はどんな方法を考えているのか?
・どうしてダイエットしたいのか?
・ダイエットしたら、どんなメリットがありそうか?
・いつから始めるのか?
ひと言で「ダイエット」と言っても、具体的に考えられていないことがあります。
上記質問に自分なりに答えていくと、なんとなく思っていたことが、かなり現実的に思えてきます。実際の行動レベルまで具体化できれば、さらに実現可能性が高まります。
これと同じく仕事においても、営業計画を立てたけれど、日々の行動レベルまで具体的には考えられていないケースがあります。 例えば部下が「新規開拓を年間10件」といった目標を立てた場合、「目標達成のためにどんな活動をしていくのか」についてより明確にしておく必要があります。
わかりやすい方法としては、5W3H(What、When、Who、Where、Why、How to、How many、How much) の質問を使っていくと自然と具体化することになります。
部下の方に対して、「そうか新規開拓10件やってみるか!頑張ってくれよ。じゃあ、具体的にどんな行動をしていくのか、一緒に考えよう!」というスタンスで関わりながら、質問を投げかけていくことで、計画が行動レベルで具体化され、部下自身の中で行動イメージが明確となることで、より実現可能性が高まっていきます。
では、今日のワンポイントレッスンです。( ^ ^ )
今、まだ漠然とした目標、計画をお持ちでしたら、ちょっと自分で質問を書き出してみて、それに答えてみて下さい。
執筆者
川北 智奈美
(人事戦略研究所 マネージングコンサルタント)
現場のモチベーションをテーマにした組織開発コンサルティングを展開している。トップと現場の一体化を実現するためのビジョンマネジメント、現場のやる気を高める人事・賃金システム構築など、「現場の活性化」に主眼をおいた組織改革を行っている。 特に経営幹部~管理者のOJTが組織マネジメントの核心であると捉え、計画策定~目標管理体制構築と運用に力を入れている。
※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。
バックナンバー
- 70歳雇用時代に向けたシニア社員の活用
- 2024年最低賃金引上げの動きと今後
- 2024年の初任給水準
- 2024年の中堅・中小企業の賃上げ動向 ~中小企業では賃上げに限界感!~
- 70歳までの雇用が義務化されるのは、いつごろか?
- 令和5年度(2023年度)最低賃金はついに全国加重平均で1000円超え
- 2023年の初任給平均の実態と今後
- 2023年の賃上げ動向 ~中小企業は二極化か?~
- 役職手当(役付手当)の相場と設計ポイント
- 中小企業が人事制度を導入する際の留意点
- 社員50名以下の中小企業が人事制度を作成する価値②
- 社員50名以下の中小企業が人事制度を作成する価値①
- 評価制度の改善に着手する前に②
- 評価制度の改善に着手する前に①
- オンライン会議活性化のポイント②