コーチングの基本スキル ~承認~
教育・能力開発
今回ご紹介するのは、2つめの基本スキルである「承認のスキル」です。
つまり相手をきちんと「認める」ということです。 コーチングにおいて、まず大切なのは信頼関係だと前回までにお話しました。 この信頼関係を築く上で重要なひとつのポイントが「承認」なのです。 「相手をきちんと認めている」ということを「言葉に出して伝える」ことで、 クライアントは「この人は安心できる。ちゃんとわかってくれている」という気持ちになり、 安心して心を開き、何でも話してくれるようになります。
承認にもいくつかの種類がありますので、簡単にご紹介しておくと、
存在承認・・・「あなたがいてくれて助かる」といった存在そのものに対する承認
事実承認・・・「いつもお茶を入れてくれてありがとう」など実際の行動、事実に対する承認
変化承認・・・「最近仕事のスピードが上がったね」など、よい方向へ変化していることに対する承認
などがあります。
これらを普段から、きちんと言葉に出して伝えておくことが望ましいでしょう。
とはいえ、なかなか普段業務に追われて、ついつい忘れてしまうことが多いものです。 ポイントは、面倒かも知れませんが、部下の承認ポイントを手帳に書いておき、 毎朝必ず目を通してから業務を行うことです。 そして、その日誉めた部下のリストをチェックし、偏りや頻度などを自分なりに掴んでおくとよいでしょう。
早速、今、部下の承認ポイントを手帳に書いて整理してみて下さい。
もし書けない、書くことが見当たらない(承認ポイントが見えない)という方、 それは、部下に関心がないからです。普段から、部下の気持ちの変化、部下を取り巻いている状況、 今何をやろうとしていて、何につまづいているのか、ということに関心がないから、 何が彼の長所で、どんな成長をしているのかが見えないのです。
この「承認のスキル」については、前回述べた傾聴と同じく、 主にコーチのあり方や姿勢そのものから出てくるもので、まずは、「部下に関心をもつ」そして、 「その部下のことを心から認め、受け入れ、成長できるように助力したい」 という気持ちを磨くことが大切なのだと思います。 毎度、しつこいくらい同じことを繰り返してお伝えしていますね(笑)
執筆者
川北 智奈美
(人事戦略研究所 マネージングコンサルタント)
現場のモチベーションをテーマにした組織開発コンサルティングを展開している。トップと現場の一体化を実現するためのビジョンマネジメント、現場のやる気を高める人事・賃金システム構築など、「現場の活性化」に主眼をおいた組織改革を行っている。 特に経営幹部~管理者のOJTが組織マネジメントの核心であると捉え、計画策定~目標管理体制構築と運用に力を入れている。
※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。
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