新入社員の早期退職を防ぐために
教育・能力開発
まもなく新年度、新入社員さんの受け入れ準備は進んでいらっしゃいますか?
厚生労働省の発表によると2018年卒業予定の大卒就職内定率は、2017年12月時点で前年を1ポイント上回る86.0%で、1996年以降の調査開始以降、過去最高を更新したそうです。
ますます競争が激化する採用市場にあり、「ここ1~2年は特に厳しい」と多くの人事担当者が頭を抱えていらっしゃいます。また同時に「苦労して採用しても、2~3年で辞めてしまいます。」と嘆いておられることも多く、人事の仕事は増える一方とのこと。
こんな状況では、預かる側の上司も大変なプレッシャーですね。
そこで今日は、少し新入社員さん側の気持ちに目を向けてみましょう。
株式会社マイナビの新入社員の意識調査(2016年)によりますと、「社会人生活の中でどのようなことに不安を感じていますか」という質問に対する答え(複数回答)として、「仕事がうまくこなせるか」と答えた人の割合が約8割で第1位、続いて「上司、先輩、同僚との人間関係」と答えた人の割合が約6割で第2位となっています。一方で「十分な収入が得られるか」と答えた人は1割と低い水準に留まっています。
この結果から、ほとんどの新入社員は「自身の能力への不安」「人間関係への不安」を抱えながらの入社してくる、ということになります。
また別の観点で見てみると、
リクルートマネジメントソリューションズが行っている新入社員調査(2016年)では、 「上司に期待することは何ですか」という質問に対して、「相手の意見や考え方に耳を傾けること」が約5割で第1位、「一人一人に対して丁寧に指導すること」が約4割で第2位となっており、「周囲を引っ張るリーダーシップ」や「仕事がバリバリできること」などを大きく上回る結果となっています。
つまり不安を抱えている新入社員が、上司に求めているのは「意見・話をちゃんと聴いてくれること」「自分のことをちゃんと見てくれること」とも受け取れます。
部下指導の基本である「相手に関心をもつこと」「話を聴くこと」、まずはここをクリアできれば、1~2年で退職ということは防げるのかも知れません。
執筆者
川北 智奈美
(人事戦略研究所 マネージングコンサルタント)
現場のモチベーションをテーマにした組織開発コンサルティングを展開している。トップと現場の一体化を実現するためのビジョンマネジメント、現場のやる気を高める人事・賃金システム構築など、「現場の活性化」に主眼をおいた組織改革を行っている。 特に経営幹部~管理者のOJTが組織マネジメントの核心であると捉え、計画策定~目標管理体制構築と運用に力を入れている。
※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。
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