人事評価の5W3H②

前回に引き続き、人事評価の5W3Hです。
前回の①~④は設計メイン、今回の⑤~⑧は運用メインといったところでしょうか。
 
⑤ How Many:どのくらいのボリュームにするか
評価項目を考える際、できるだけ仕事の全体を評価したいと思いがちです。
しかし、多すぎる評価項目が正しい評価を疎外している例も多くあります。
(評価者の集中力が続かない、重要度の低いことまで評価項目化してしまう)
評価項目を抽出する際のセオリーは、「重要」かつ「人により差がつきやすい」ものです。
 
⑥ Wen:どういうタイミングで評価するか
一般的に、人事評価は半年に1回、もしくは1年に1回です。
しかし、3ヵ月に1回や、毎月行っている企業もあります。
できるだけ小まめに評価する(振り返りを行う)のは非常に良いことですが、
例えば能力評価を行う場合、1ヵ月で目に見えるほどの能力向上はありえません。
(すなわち、前月と同じ評価を行うことになります)
振り返り(中間チェック)といった教育的視点と、人事評価の視点は分ける必要があります。
 
⑦ Where:どういう場面で評価するか
一般的に、企業における課長クラスはプレイングマネージャーです。
プレイヤーとしても高い成果を上げ、部署の重要業務を担っていますので、
四六時中「部下の事だけ」「評価のことだけ」を考えている訳にはいきません。
会議の時、アウトプットの品質、顧客先への同行時など、
「この評価項目は、この場面で確認する」といった指針を評価者が持っておく必要があります。
 
⑧ How to:評価スキルを極める

・評価期間以外の評価はしない
・直近で起こった印象的な出来事に左右されてはいけない
・人事評価表を部下のモチベーション向上に使わない
 (モチベーションを上げるために高い評価を付ける、刺激を入れるために低い評価を付ける 等)

これらは、評価者として当然に知っておくべき知識・スキルです。
人事評価制度を機能させるには、最低限の評価者訓練は必要です。
 
いかがだったでしょうか。観点の整理になれば幸いです。

執筆者

森谷 克也 
(人事戦略研究所 所長)

5~10年先の内部・外部環境を想定し、企業の成長を下支えする 「組織・人事戦略」 の策定・運用が図れるよう、 ≪経営計画-人事システム-人材育成≫ を連動させる組織・人事戦略コンサルタントとして実績を積んでいる。また、カタチや理論に囚われない、「中小企業の実態に即したコンサルティング」 を身上とし、現場重視で培った独自のソリューションを多く開発している。

※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。

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