360度評価(多面評価) ①

人事評価に360度評価(多面評価)を入れたいというご依頼を多くいただきます。
導入にはいくつかのハードル、ステップがありますので、整理したいと思います。
 
【導入における主なステップ】
 
 ① 何の為に導入するか
 ② 誰を評価対象とするか
 ③ 誰が評価するか
 ④ 評価者をどう選ぶか
 ⑤ 何に活用するか
 ⑥ 何を評価するか
 
まずは①です。一般的には、次の2点かと思われます。
 
・目的1…現行の人事評価制度(人事考課制度)ではカバーできない部分を補てんする評価ツールとして導入
・目的2…被評価者が認識していない自分自身を理解し、成長の一助とするための教育ツールとして導入
 
目的1でよくあるのは、例えば店舗型小売業の店長で、エリアマネージャーが臨店したときと、それ以外の時で態度がまるで違う場合などでしょうか。
 
エリアマネージャー(上司)が認識できない点を、店舗スタッフ(部下)に評価してもらうことで、実態を把握することができるかもしれません。そういった意味で、評価の補てんツールとなりえます。
 
ただし、
 
1)部下は店長が行う全ての仕事を把握している訳ではないため、あくまで一面の評価であること
2)好き嫌いといった感情が含まれる可能性があること
3)それらを踏まえ、店長のマネジメントが、部下に迎合するスタイルになる恐れがあること
 
等に注意が必要です。

 
目的2は、企業研修の場でよく使われます。
いわゆる、「ギャップ・アプローチ」により問題解決を図る、典型的な手法となります。
ここでは深く述べませんが、被評価者へのフィードバックの仕方を間違うと、問題をより大きくする可能性があるため、注意が必要です。
 
 
次回は、②③についてお話しします。

執筆者

森谷 克也 
(人事戦略研究所 所長)

5~10年先の内部・外部環境を想定し、企業の成長を下支えする 「組織・人事戦略」 の策定・運用が図れるよう、 ≪経営計画-人事システム-人材育成≫ を連動させる組織・人事戦略コンサルタントとして実績を積んでいる。また、カタチや理論に囚われない、「中小企業の実態に即したコンサルティング」 を身上とし、現場重視で培った独自のソリューションを多く開発している。

※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。

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