シニア社員のモチベーションを高めるためには?

2021年に「改正高年齢者雇用安定法」が施行され、70歳までの就業確保が規定されています。また、昨今の労働力人口の減少にも伴い、各企業では“シニア社員”の適切な活用が求められている一方で、職務へのモチベーションが維持できないシニア社員が多いようです。

そもそもシニア社員のモチベーションが下がる原因は何なのか、シニア社員の活躍を促進させる施策はないのかについて触れてみたいと思います。

 

■なぜシニア社員のモチベーションは下がってしまうのか

役職を外れた経験(ポストオフ経験)のある50~64歳の会社員766名に対して行った、ある意識調査※1によると、ポストオフ後の仕事に対する意欲・やる気が「一度下がった」人は6割近くにのぼり、その内訳として「下がったまま」は4割前後、「一度下がって上がった」は2割前後にとどまった、という調査結果が出ています。

このような原因として、役職を外れたこと、それに伴う周囲からの期待が低下したことによる疎外感、職務転換後に今までの経験を生かせない事務作業や単純作業に対し、労働意欲が損なわれた、といった心理的要因が大きいようです。

 

■シニア社員の活躍を促すための施策とは

上記のような心理的要因を解消しつつ、シニア社員の活躍を促すためにはどうすればよいのでしょうか。解決策として、今回は大きく2つの観点でご紹介いたします。

 

①シニア社員の職務創出

定年後の職務として、自動的に単純作業を任せるのではなく、労働意欲が落ちないよう、やりがいのある職務内容を検討します。前提として、求められる技術の陳腐化が激しい時代に、現業の中でどのような職務を与えることができるかを判断する必要がありますが、現役時代の経験やスキルを問題なく活かすことができるのであれば、定年前と同じ職務を担ってもらうことも一つの手です。また、管理職経験者であれば、社内の教育担当や社内監査役を担ってもらう、といったケースもあります。

 

②定年再雇用・延長制度の構築

2つ目は、シニア社員用の人事制度を構築する方法です。よくあるのは、給与は定年前給与の一定率を減額したものを支給し、賞与制度や評価制度は設けていないケースがあります。これではせっかく職務を用意しても、モチベーション維持に繋がらないどころか、場合によっては同一労働同一賃金の観点から、法的リスクに繋がる可能性があります。正社員と同様に、等級制度・賃金制度を整備し、「後進育成」や「技能継承」といったシニア社員ならではの役割を設定し、評価することで、現役時代と同じ環境下で働いているといった意識づけがしやすくなります。

今回は、シニア社員のモチベーションを高める施策についてご紹介致しました。前段で述べた通り、労働力人口の減少や多様な働き方が叫ばれている中、シニア社員の活躍は今後の企業継続に必要不可欠な要素と言えます。この記事が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。

 

出典:㈱株式会社リクルートマネジメントソリューションズ ポストオフ経験に関する意識調査 (https://www.recruit-ms.co.jp/press/pressrelease/detail/0000000348/)

 

 

執筆者

鈴江 遼 
(人事戦略研究所 コンサルタント)

大学では経済学を専攻。人事組織経済学の研究を通じて、人事制度の仕組みづくりに関心を持つ。そこから「人事制度の構築・運用のいろはを学び、会社経営の支援がしたい」という思いを持ち、新経営サービスに入社。企業の悩みや課題について、本質を突いたアドバイスができるコンサルタントを目指し、日々チャレンジしている。

※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。

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