企業の平均年齢を引き下げるには
人事制度
前回、日本企業労働者の平均年齢が41歳に達しており、今後も高齢化が進み収益を圧迫していくということを述べました。
> では、企業が社員の平均年齢を引き下げるには、どのような方法があるのでしょうか。
収益と組織を拡大させ、新卒など若手人材を採用していく
これは、誰でも分かります。それができないから困っているわけですが、同じ人材採用を行うなら、できるだけ若い人を採るということはできます。収益が悪化すると、どうしても即戦力(経験者)を採用しがちになりますが、目先の成果は少しガマンしてでも、若手を採用するのです。
長期勤続へのインセンティブを廃止・縮小する
長期勤務へのインセンティブとは、給与であれば年齢給や勤続給などの年功賃金、退職金制度が最たるものです。また、永年勤続表彰や勤続年数に応じた福利厚生制度なども長期勤続を奨励するものです。これらの制度を廃止もしくは縮小することで、即効性はありませんが、中長期的な対策となり得ます。
早期退職制度、独立支援制度などを導入する
恒常的な制度として早期退職、独立支援、セカンドキャリア支援などのしくみを設ける方法です。リクルート社が以前実施していたオプト制度(30歳以上の退職者に、通常の退職金に加え1000万円を支援金として上乗せする制度)などが有名でしたが、中央官庁の50代になると同期のうち一握りしか残れない人事制度、外資系コンサルタント会社のアップオアアウト慣習(昇進するか、退職するか)、銀行の取引先への転職紹介、大手企業の子会社への出向・転籍など、けっこう行われています。社員が余力のある間に将来設計を考えてもらうことは、決して悪いことではありません。
中高年者向けの事業を開発する
例えば流通業であれば、物流業務を内製化し、出荷・配送部門(会社)に中高年者の仕事をつくるといった施策です。製造業であれば、海外工場や外注先指導のポジションを設けるということも考えられます。ソフトウェア開発企業であれば、ハードウェアの販売部門を創設し、売上に貢献してもらうといったケースです。その場合には、部門別に賃金制度を設定する必要があるかもしれません。
不況期に増える「業績不振による希望退職や整理解雇」というのは最後の手段です。そうならないためにも、日頃から組織の若返りを意識した人事施策を考えておいてください。
執筆者
山口 俊一
(代表取締役社長)
人事コンサルタントとして20年以上の経験をもち、多くの企業の人事・賃金制度改革を支援。
人事戦略研究所を立ち上げ、一部上場企業から中堅・中小企業に至るまで、あらゆる業種・業態の人事制度改革コンサルティングを手掛ける。
※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。
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