人事制度説明会の社員アンケートは公表したほうがいいか?
人事制度
新人事制度の説明後あるいは導入後に、社員アンケートをとることがよくあります。
アンケートを有効に活用していくためには、結果の取り扱いに留意することが肝要です。
そこで今回は、アンケートの実施目的からアンケートの結果公表の必要性について考えてみたいと思います。
■アンケートの主な実施目的
①社員の状況把握
人事制度の満足度や理解度を把握する
②人事制度の理解促進
説明会の質疑応答では聞きづらかった質問を吸い上げる
③人事制度のブラッシュアップに向けた意見収集
よりよい制度にしていくためにどんなことが必要かについて、社員の声や、現場目線の意見や気づきを収集する
④人事制度の浸透促進
社員の声をただ集めるだけでなく、向き合う姿勢を見せ、運用において社員の当事者意識を高める
■結果を公表するかどうかは目的を考えて
①の場合は、公表することが望ましいですが人事側が状況を把握するだけの目的であれば、必ずしも公表の必要はないと言えます。
但し、結果が芳しくない場合は、次の手を考えていくことが望ましいです。
②の場合は、個人的な質問ではない限り、全社員にQ&Aの形で公表することで制度の理解促進につながります。
個人的な質問については、個別にフォローを行うことが不可欠です。
資料を読めばすぐわかるような簡単な質問でも丁寧に回答をすることを心掛けましょう。
③の場合は、できる限り公表し今後の取組みの方向性を示していくのが良いでしょう。
意見の多かったものや、問題が大きいものをピックアップして、それらに対してどう考えるかを明示し伝えることがポイントです。
④の場合は、全社員に対し正確に結果やQ&Aを公表することが必須です。
意見に対して適切な回答を行うにあたっては相応の配慮が必要ですが、誠実に回答し、社員に会社の姿勢を示すことが大切です。
社員が「会社は社員の声に向き合ってくれる」と理解すれば、制度を前向きに受け取りやすくなり、制度の浸透につながるでしょう。
また、説明会終了後や導入後だけではなく、初回の評価実施後や1年後などのタイミングで定点観測を行い、浸透状況を確認しながら、組織にあった人事制度となるよう、ブラッシュアップを続けてみることも有用です。
今後アンケートをとる際の参考にして頂ければと思います。
執筆者
西澤 美典
(人事戦略研究所 シニアコンサルタント)
前職の製造系ベンチャー企業では、営業・人事・総務・WEB制作担当等の実務に従事。
経営者の間近で幅広い業務に携わり、様々な企業や人との出会いを経て、「働く人々の毎日や職場を、より生きがいを感じることのできるものにしたい」という志を持ち、新経営サービスに入社。
経営者と共に、人事制度をキッカケにして、組織で働く人を元気にできるコンサルティングを心掛けている。
設計段階から、先々の運用をイメージした、組織になじみやすい制度づくりを行っている。
全米・日本NLP協会認定 NLPマスタープラクティショナー。
※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。
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