評価者の行動を変えるには?
人事考課(人事評価)
前回ブログでも述べた通り、評価者教育の最初のステップでは、「土台作り」として人事評価の目的や評価者の役割といった基本知識・スキルを評価者に伝えていきます。実施のポイントは、当たり前の内容だからこそ「伝え方」が重要であるとお話ししましたが、今回のブログでは伝え方の具体的なポイントを解説します。
○必ず実践すること、実践してはいけないことを明確に
評価者の力量を上げるには、人事評価の実践が重要です。評価者としての日々の取り組みを加速させるためには、必ず実践すること、逆に実践してはいけないことを明確に伝えるようにしましょう。例えば、「目標はなるべく具体的に書きましょう」と伝えるより、「共有化/徹底する…etc.といったワードは使用不可」とするほうが何を実践すべきか明確になります。
○適度な危機意識を抱いてもらう
評価者として実践すべきことは、「部下の行動を観察する」「評価基準に沿って評価する」といった当然の内容がほとんどです。当たり前の内容だからこそ、軽視してしまうことはよくある話ですが、軽視してしまうとどういう不利益が評価者自身に生じるかを考えてもらうことも有効です。具体的な事例を挙げると、以下のような内容です。
・評価に不満を持つ部下が増えつづけると、どうなるか?
・自分の物差しでしか部下を評価できない上司を会社はどうみるか?
…etc.
○評価者に寄り添い、動機づけする
評価者教育に注力する会社ほど、過度な期待や責任を評価者についつい押し付けがちです。人事評価制度の適正運用に向けた課題を考えると、致し方ない面もありますが、会社と評価者が協働して目的を達成するのが本来あるべき姿です。評価者からみて「押しつけ」と捉われないように、「寄り添う」スタンスも持ちながら、評価者教育を実施していきましょう。
以上が伝え方の3つのポイントです。ちょっとした工夫で改善できる内容がほとんどだと思います。自社の評価者教育で行き詰っている企業のヒントとなれば幸いです。
執筆者
岸本 耕平
(人事戦略研究所 シニアコンサルタント)
「理想をカタチにするコンサルティング」をモットーに、中堅・中小企業の人事評価・賃金制度構築に従事している。見えない人事課題を定量的な分析手法により炙り出す論理的・理論的な制度設計手法に定評がある。
※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。