Z世代の採用を助ける2つの視点~SNSの種類とその使い方~

前回のブログZ世代の採用を助ける2つの視点~成長とタイパ~では、中小企業がZ世代(1996年~2010年生まれ)を採用するための視点を紹介しました。

Z世代が重視するのは「成長」と「タイパ(使った時間当たりの満足度)」であることを紹介した後、応募者が実感する「成長」と「タイパ」を高める施策を2つずつ紹介しました。

 

また、上記のブログでは、Z世代が「普段チェックする情報源」「最もチェックする情報源」は、どちらもSNSだと紹介しました。そこで、今回はどのSNSが、どれくらい就職活動に使われているかについて紹介した後、それらの使い方について紹介します。

 

次の2つの図は、電通若者研究部が、就職活動を終えた2023年卒業予定の全国の大学生・大学院生863人を対象として実施した「Z世代就活生 まるわかり調査2022」の調査結果より抜粋しています。

 

「Z世代就活生 まるわかり調査2022」の調査結果より抜粋

 
グラフを見ると、就活におけるメディアの活用について、次の2点がご理解いただけるでしょう。

 

1.YouTubeを「かなり活用した」が2割以上、「まあ活用した」が4割以上、計約6割

2.「LINEオープンチャット、Twitterを情報収集に使っていた」が、各約6割

 

Z世代以前の世代は、就活に必要な情報は、就活ナビサイトや、検索エンジンで調べていました。それに加えてZ世代は、YouTube等の動画メディアや、LINEオープンチャット等のSNSで、就活に必要な情報を集めていることが伺えます。

後者のうち、LINEオープンチャットとは、LINEで誰でも参加できるグループを作成して、友だち以外のユーザーとも交流できる機能です。テーマごとに作られたグループ内で、チャットする形式で情報が交わされます。LINEで実際に調べてみると、「オープンチャット」の欄に、【25卒】○○業界志望者向けグループ等のグループがたくさん現れます。より詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
オープンチャットを利用する|LINEみんなの使い方ガイド

 

筆者は「検索離れ」という言葉を最近よく目にしますが、単に情報を検索するだけの人は減っていると感じます。YouTubeのようにその人その人に合わせて自動でおすすめされる動画や、LINEグループチャットのように自ら選んだグループ内のメンバーとの対話から、情報を得る就活スタイルに移り変わってきている、と言えます。

 

とはいえ、Z世代の採用に有効と思われる、YouTubeの動画制作や、LINEのオープンチャットに慣れている社員がほとんどいない、または、全くいないという企業が、まだまだ多いのではないでしょうか。そこで、採用施策の具体策として、例えば、次のようなことが考えられます。

 

「YouTube」を使った採用施策:

◇インターンシップを活用して、成長実感や、人の役に立つことを重視するZ世代自身に、わが社を紹介する動画を作ってもらう

 

〈メリット〉

1.応募者が1人でも、スマートフォンが1台あれば、作ってアップロードすることができ、作る過程での質問などにより会社理解が進み、入社後のミスマッチが防げます

2.「動画自体と、作る過程での候補者・社員とのコミュニケーションの進め方がよかったから、今後の仕事に期待できるので、あなたを採用したい」など、明確な内定理由が伝えられます

3.採用できなくても、できた動画はその後の採用活動などに使えます

4.何を撮影するか一定の範囲で任せれば、Z世代が注目する、思ってもみなかった自社の価値に気づける可能性があり、それを以後動画以外でも他のZ世代にアピールできるようになります

 

社員に作れる方、作り方を教えられる方が全くいない場合、動画制作に詳しい外部の方に手伝ってもらうのもよいでしょう。

 

「LINEオープンチャット」を使った採用施策:

◇自社のみ、または合同の説明会で、応募者と企業の採用担当者が所属するLINEオープンチャットを作る

 

〈メリット〉

1.応募者が使い慣れている媒体でコミュニケーションすることで、それ以外の媒体でコミュニケーションする他の企業に差を付けられる

2.QRコードですぐにアクセスして参加しやすく、接点を増やしやすい

 

採用活動にもトレンドがあります。うまく流れに乗りながら、より効果的な採用活動を行うことをお勧めします。今回挙げた以外の採用戦略も気になる方は、よろしければこちらもご覧ください。

 

「ヒトノトリカタ」https://trms.jp/

 

 

執筆者

町田 耕一 
(人事戦略研究所 コンサルタント)

大手IT企業にて、自社システム企画・顧客への人事給与システム導入・人事総務等の実務に従事、それぞれで製品化・予定の1/4の納期での導入・迅速な業務遂行による部署内表彰などの成果を出す。
新経営サービス入社後は、人事・情報技術の知見を活かし、人事制度策定・運用だけでなく、HRテックの導入と運用に対する顧客や社会への提案も積極的に行っている。新経営サービス内でのHRテック導入と運用も担当しており、各企業に合うHRテックの導入と運用に明るい。
G検定(AI活用検定)に2019年3月合格後、E資格(AI作成能力)合格者との限定コミュニティ(CDLE、5万名以上所属)で活動。「NEWS+」グループのリーダー。2022年、貢献に対するメンバーの投票等で決まる最優秀賞をグループ・個人とも受賞。
AIに関する法律や倫理を考える「AIリーガル」グループのメンバーでもあり、英国王室公認品質協会(CQI|IRCA)から、世界80か国、2万名以上の会員に発刊された『Quality Magazine』誌2022年秋号のAI特集記事への寄稿にも協力。

※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。

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