新卒採用でダイレクトリクルーティングの効果性を高める方法

近年、新卒採用においてもダイレクトリクルーティングが主流となりつつあります。ご存知の方も多いと思いますが、ダイレクトリクルーティングとは、直接求職者にアプローチする採用手法です。
 
ダイレクトリクルーティングを上手く活用するには、
 
 ①どのような学生にアプローチするか、ターゲットを明確にする
 
 ②ターゲットに訴求できる当社の強みや他社との差別化ポイントを具体化しておく
 
 ③どうやって選考につなげるかを考えておく
 
といったことがポイントです。
 
今回のブログでは、前述の3つのポイントを新卒採用においてどのように実現していくかをスカウトメールの送り方を例に挙げてお伝えしていきます。
 
①ターゲットを明確にする
前述の通り、ダイレクトリクルーティングとは求職者に直接アプローチする採用手法です。したがって、どのような人材にアプローチをするかを事前に具体化しておくことが重要です。
ターゲット設定で特に注意すべき点は2点あります。1点目は所属部活やサークル、趣味などで絞るのではなく、求める人材像を踏まえてターゲットを絞ることです。例えば、「チームで取り組む仕事が多い為、協調性のある学生を求めている」とします。チームで取り組んだ経験の例として「チーム競技の部活所属経験」「チーム単位で取り組む長期インターン経験」などが挙げられます。
 
そのため、「体育会学生」をターゲットに定めたからといって、その経験が必須ではありません。学生に求める要素はなにか、という視点でターゲット設定を行いましょう。
 
2点目はアクティブユーザーに限定することです。たとえターゲット学生にアプローチできたとしてもスカウトメールが未開封だとターゲット選定・スカウト文作成~送付までの工数が無駄になります。「直近ログイン日」「プロフィール充実度」「返信率」など学生のサービスの利用状況にも注視しましょう。
 
②自社の強みや差別化ポイントをどう伝えるか
ダイレクトリクルーティングの強みは、個人に合わせたアプローチができることです。
ただし学生側は、スカウトメールを受け取る段階では企業のことを知らず、関心がないケースがほとんどです。
その為、まずは関心を持ってもらうことが必要です。加えて、自社の強みを学生に響かせるためにも、「学生のどの経験が自社に合いそうだと感じたか」「学生の強みは自社のどの仕事で発揮されそうか」という観点を必ず含めてスカウト文を送るようにしましょう。余談ですが、近年「共感型採用」が採用トレンドに挙がっています。今の学生の特徴として「自分の事を分かってくれている」という感情が企業への関心に繋がるケースも多々あります。スカウト文にひと手間加えることで反応率アップに繋がりやすくなります。
 
③選考に繋げるためには
候補者は企業に対して、認知⇒興味関心⇒比較検討⇒決定という一連の流れで企業選択を行う傾向があります。ダイレクトリクルーティングにおける初回接触は、面接ではなく参加ハードルの低い面談を設定するとよいでしょう。初回面談で学生の「興味・関心」を高め選考への動機付けに集中します。注意点として、面談から選考への歩留まり率が低い企業にはスカウトから面談までの一貫性に欠ける、という特徴が見受けられます。スカウトを行う社員と面談を行う社員が異なる際は引継ぎ等をしっかり行い、実施しましょう。
 
今回は、ダイレクトリクルーティングを上手く活用する方法についてお話してきました。
ダイレクトリクルーティングでは学生一人当たりに割く時間や労力は大きくなります。ただ、その分、一人ひとりと向き合う時間が増えることで、結果として採用ミスマッチの減少、入社後の定着率UPにも繋がる効果があります。実際、ダイレクトリクルーティングに注力した企業群は新卒採用を行う全企業平均と比較し、内定辞退ゼロの割合が約20%も高いというデータも出ています。(HR総研 2023年&2024年採用動向調査(6月))
 
はじめは上手くいかないこともたくさんあるとは思いますが、トライ&エラーを繰り返しながら採用ノウハウが確立するまで中長期的な視点を持ち、粘り強く取り組むようにしましょう。

執筆者

長尾 拓実 
(人事戦略研究所 コンサルタント)

前職では、中小企業を中心とした採用支援事業に約3年間従事。
企業・求職者双方と接する中で、働き甲斐ある職場の実現において社員一人一人が活きる組織づくりが重要だと実感。
この経験を通じて「組織づくりを基軸に中小企業の成長に貢献したい」と想い新経営サービスに入社。
課題に対して粘り強く、企業の良さが活きるコンサルティングを心掛け日々活動している。

※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。

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