新入社員におけるテレワークの受け止め方とは
採用・定着
昨年4月の緊急事態宣言発令以降、多くの企業はテレワーク制を導入してきた。
このような労働環境に対して、新入社員はどのような心境で受け止めているのだろうか。
入社1年目をテレワークで過ごした、新入社員400人を対象としたある調査結果(*1)をご紹介する。
調査の中で、”テレワークを伴う新人研修の満足度”を問う質問に対し、「非常に良い/良かった」が18.3%、「どちらかといえば良い/良かった」が48.9%となっており、合わせて約7割の新入社員がテレワークを伴う新人研修を肯定的に捉えていることが判明している。
一方で同調査では、新入社員が問題視している課題についても明らかにしている。”テレワークを伴う新人研修における上司とのコミュニケーション頻度”に対する回答では、「週1回未満」が34%という結果となっている。また、”人間関係が構築されていないが故に、業務に対する疑問・質問を上司に尋ねることができない””放置され、業務に取り組むためのモチベーションが下がった”など、コミュニケーションの不足から業務への支障や就業意欲の低下が生じている、といった意見が散見された。
以上の調査結果からわかることは、テレワークを好意的に受け止めている新入社員が多い一方で、コミュニケーション課題を抱えている社員も少なくないということだ。
上記のような課題を解決するためには、新入社員に対して、上司や先輩社員がテレワーク下でも人間関係を構築できるような仕組みづくりが必要不可欠である。
具体的には、ZoomやTeamsなどのオンラインツールを用いて、月に1~2回、1時間程度でコミュニケーションの場を意図的に設けるなどの工夫が考えられる。日報による業務状況の確認だけでなく、自身の調子や睡眠時間、業務内外で抱えている課題を共有するだけでも、新入社員にとっては心理的安心性が向上し、安心して働くことに繋がりやすくなる。まずはコミュニケーションの機会を設けてみることから始めてみてはいかがだろうか。
*1:株式会社O: 「テレワーク下の新卒オンボーディング・新⼈研修の概況調査」(調査期間:2021年3月1日~3月14日)
執筆者
鈴江 遼
(人事戦略研究所 コンサルタント)
大学では人事組織経済学を専攻し、人的資本や行動経済学等の理論を学ぶ。企業内の人事ヒアリング調査を行った経験から、「人事制度の構築・運用のいろはを学び、会社経営の支援がしたい」という思いを持ち、新経営サービスに入社。
常に論理性と一貫性を保ち、本質を突いたアドバイスができるコンサルタントを目指し、日々挑戦している。
※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。
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