「現状分析・診断」のイロハ⑬

前々回から年齢構成の「タイプ」ごとの課題と、課題解決の方法をお伝えしています。今回は、「中凹み型」を解説します。
 
◇「中凹み型」が直面する課題・リスク

「中凹み型」の人員構成とは、30代後半~40代前半の社員が少ない状態を指します。「次の世代に会社のバトンを繋ぐ」と考えた場合、特定の年代が量的に不足することは、企業として大きなリスクを抱えていると言えます。特に、30代後半~40代前半という年代は、多くの企業にとって、現場の第一線で高い成果を上げることや、経営幹部候補として組織を牽引することを期待したい年代です。

したがって、「中凹み型」の人員構成となっている企業は、現場戦力の不足、ひいては次期経営幹部候補の不足に対応することが求められます。

 

◇「中凹み型」の抱える課題・リスクを解決・回避するには

人手不足を解消するには、「いかに人材を充足させるか」がポイントとなってきます。人材を充足させるための方向性を整理すると、①採る(=採用)②辞めさせない(=定着)③育てる(=育成)④動かす(=配置)の4つが挙げられます。

「中凹み型」の人員構成になる原因として、業績不振時に採用抑制を実施したため、人員が少ない状態を放置してきたことや、離職による目減り等が考えられます。
 
上記を踏まえて、「中凹み型」の抱える課題・リスクを解決・回避する施策について具体例を挙げると、
 
 ①採用:経営幹部候補の中途採用
 ②定着:モチベーション面のフォローアップの実施(人事による個別面談等)
 ③育成:若手社員の早期育成による底上げ(教育研修の充実等)
 ④配置:異動・配置転換の促進
 
といったものが考えられます。アプローチの方向次第では、人事制度の枠組みを超えて取り組むことも当然出てくることになります。したがって、解決策を検討する際は、広い視野をもちながらアイデアを出していくことが重要となります。
 
以上のように、人事施策を洗い出した後は、効果性と即効性の観点から優先順位をつけながら実行に移していくことになります。施策ごとの効果性・即効性は、取り巻く環境により企業ごとに異なります。したがって、施策の実施は、「他社で成功しているから」「流行モノだから」といった理由だけで決めるのではなく、自社の内部・外部環境を踏まえた上で、決定することが重要です。

 

 昨今、多くの企業で人手不足が深刻化しています。「中凹み型」の企業に限らず、人材の充足は企業によって重要な課題の一つと言えます。4つのアプローチ方法を押さえた上で、解決策を検討してみてください。

執筆者

岸本 耕平 
(人事戦略研究所 シニアコンサルタント)

「理想をカタチにするコンサルティング」をモットーに、中堅・中小企業の人事評価・賃金制度構築に従事している。見えない人事課題を定量的な分析手法により炙り出す論理的・理論的な制度設計手法に定評がある。

※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。

バックナンバー