離職が止まらない。どうやって問題解決していくか?
分析・診断
社員の離職を防ぎたい!
このように考えている企業は多いと思いますが、問題解決の糸口が掴みづらいテーマです。そこで今回は、離職防止に向けた問題解決アプローチのコツをお伝えしていきます。
◆まずは現状を客観的に把握する
離職防止に向けた施策を講じようとしても、現状を正しく捉えていなければ、適切な解決策が打てません。まずは、以下2点から自社の現状を把握していきましょう。
①属性別の離職率や離職者数を把握している
②離職理由別の離職者数を把握している
日々、多くの中小企業から人事に関するご相談を受けていますが、離職に関する自社の現状を完全に把握できていない会社が多いように思います。特に、②は「正確な離職理由は分からない」という考え方から、情報収集が全くできていないケースがほとんどです。たしかに、正確な離職理由を掴めない可能性もありますが、情報収集を積み重ねることで自社の傾向を掴むことは十分可能です。問題解決の糸口を掴むためにも、一度チャレンジしてみましょう。
なお、参考までに離職理由の把握方法をお伝えすると、以下のような手法があります。
・本人から直接聞く
・過去の上司面談や人事面談からヒントとなる情報を参考に類推する
(例:キャリアについて悩んでいた 等)
◆問題解決の優先順位をつける
「現状を把握しても、どこから手を打てばよいか分からない」
こういったお話をよく伺います。離職防止という目的を踏まえると、以下の2つの切り口から優先順位をつけることをおススメします。
①会社にとって「痛手となる人材」になるか?
施策を講じることを前提にすると、重要度の高い問題から解決を図ることが効果的です。したがって、「離職者が多い・少ない」という量的な観点ではなく、「会社にとって痛手になるか?」という質的な観点をもって着目すべき人材を設定しましょう。
②施策を講じやすそうな離職理由に着目する
効率的に問題解決を図るためには、「問題解決に取り組みやすそうか?」という観点をもつことがポイントです。具体的には、離職理由を以下の3つに区別します。
A:会社では手の打ちようがない離職理由(例:本人の病気、配偶者の転勤 等)
B:何らかの施策を打てるが、手間がかかる離職理由
C:手間がかからず取り組めそうな離職理由
効率性を考えると、C→Bという順序で問題解決を図ることが理想です。
今回は離職防止に向けた問題解決アプローチについてお話しました。具体的な施策を紹介できていませんが、どのような施策を講じるにしても「①現状を把握すること」「②優先順位をつけること」が重要です。本ブログを参考に、自社の問題解決につなげてもらえると幸いです。
執筆者
岸本 耕平
(人事戦略研究所 シニアコンサルタント)
「理想をカタチにするコンサルティング」をモットーに、中堅・中小企業の人事評価・賃金制度構築に従事している。見えない人事課題を定量的な分析手法により炙り出す論理的・理論的な制度設計手法に定評がある。
※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。