人事制度の運用オペレーションを改善する②
分析・診断
前回は、人事制度運用がうまくいかない要因として、”オペレーションの見える化ができていない”という問題点を指摘しました。今回からは、この問題を解決するためのポイントをお話していきます。
■タスク遂行のゴールを押さえられているか?
例えば、”人事評価シートの配布”というタスクのゴールは何でしょうか?
先に正解を述べさせていただくと、
①人事評価期間のスタートまでに被評価者(自己評価がなければ評価者)の手元に人事評価シートを届ける
といったものがゴールといえるでしょう。また、後工程のことも考えると、
②記入漏れや使用する人事評価シートの誤りなどでの手戻りが発生しない工夫をして人事評価シートを配る
といった内容もゴールに加えることもできるかもしれません。
いずれにせよ、人事評価シートの配布という単純なタスクだけでも、ゴールは「ただ、配る」ではなく、もっと 深いところに本来のゴール設定ができます。
正しいゴール設定ができれば、人事評価シート配布だけでも、
・人事評価シートは紙?エクセル?どちらで配布する?
・1人ずつ配布?上司にまとめて配布?
・人事評価シートには評価者・被評価者の氏名等を予め記入しておく?
・人事評価スタートから逆算して、いつまでに配布を完了しなければならないか?
…etc.
といったタスク遂行する上での”疑問”が浮かび上がってくるでしょう。この疑問を解消していけば、必然的にタスク遂行の精度は上がってくるでしょう。これがオペレーションを改善する一つの方法となります。
当たり前のことをいっているように思われるかもしれませんが、人事制度運用が上手くいっていない企業ほど、上記の内容が全くできていないことが多いです。もし、思い当たる節があることがありましたら、一度時間をとって”どうあるべきか”を考えてみてはいかがでしょうか。
執筆者
岸本 耕平
(人事戦略研究所 シニアコンサルタント)
「理想をカタチにするコンサルティング」をモットーに、中堅・中小企業の人事評価・賃金制度構築に従事している。見えない人事課題を定量的な分析手法により炙り出す論理的・理論的な制度設計手法に定評がある。
※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。