定年再雇用後の処遇に関する世間動向
分析・診断
今回は、定年再雇用社員の処遇決定に関する世間動向を見ていきたいと思います。
世間水準データをみてみると、以下のような結果が出ています。
①定年時と比較した賃金
定年より低下・・・85.2%
定年時と同一・・・14.8%
②再雇用時の賃金低下率
10%未満・・・7.2%
10%~20%未満・・・20.3%
20%~30%未満・・・24.2%
30%~40%未満・・・27.1%
40%~50%未満・・・14.8%
50%以上・・・6.5%
という結果となりました。
※上記データの出所は、東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(平成30年版)」
こうやってみると、再雇用後は賃金を一定率引き下げることが多いのようです。
一方で、人手不足の影響もあって60歳以上の処遇を再考する動きも増えているのも事実です。実際、私のご支援先でも「定年後も定年前と同様の役割を担う方の処遇は下げるべきでない」といった問題意識から再雇用制度の改善に取り組んだこともありました。
世間相場・水準データはあくまでもある時点を定点観測したものにすぎません。テーマによっては都度、調査結果の動向を追い、トレンドを掴む必要があるでしょう。今回取り上げた再雇用時の処遇に関しても、今後の動向を注視したいテーマのひとつといえるでしょう。
執筆者
岸本 耕平
(人事戦略研究所 シニアコンサルタント)
「理想をカタチにするコンサルティング」をモットーに、中堅・中小企業の人事評価・賃金制度構築に従事している。見えない人事課題を定量的な分析手法により炙り出す論理的・理論的な制度設計手法に定評がある。
※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。