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賃金設計講座(1) 基本給の設計について①

2010年04月15日 カテゴリ:賃金制度

執筆者:岩下 広文

人事戦略研究所 コンサルタント

大学卒業後、国内事業会社において人事・総務等の実務に従事。その後、人事アウトソーシング会社、及び、外資系大手コンサルティングファーム(※監査法人系)にて人事コンサルティング業務に従事した後、現職。人事評価・賃金制度構築や退職金制度設計だけでなく、組織・人事面における幅広いテーマでのコンサルティング経験を有する。人事の実務経験を活かした運用性の高い制度設計に定評がある。

小職が担当しているブログのカテゴリーは、一応「賃金制度」ということになっている。これまでのブログは、どちらかというと賃金に関する小職の個人的な考えや見解を述べることが多かったが、今後は、(このブログの存在価値を少しでも高めるために)賃金制度設計に関する基礎的なノウハウ等についても触れていきたいと思う。

今回のブログは、その第1弾となる。テーマは、表題の通り「基本給の設計」についてである。

(1) 基本給の設計について
月例給与の中心的な支給項目である「基本給」について、その仕組みを考えるにあたっては、主に以下のような観点が存在する。

① 基本給の決定要素及び構成
② 隣り合う賃金レンジの関係性
③ 基本給の設定水準
④ 昇給の仕組み

上記のうち、今回のブログでは、まず①について解説させていただく。

① 基本給の決定要素と構成
仕組みとして給与を設定する以上、金額の決定に際してはその「根拠」が必要になる。例えば、基本給の全部または一部を「年齢給」としている場合の決定根拠は、当然に「年齢」ということになる。この「決定根拠」のことを、ここでは基本給の「決定要素」と呼んでいる。 基本給の「決定要素」としては、概ね以下の5つの要素に区分できる。いずれを採用するかは、会社の考え方(=報酬ポリシー)が反映されるべきであり、十分な議論・検討が必要である。

  

基本給の決定要素・・・「年齢」「勤続」「能力」「業績・成果」「職務」

ちなみに、年功的な処遇制度の見直しが進んだとはいえ、筆者のコンサル経験を通じた感覚論で言えば、未だに「年齢」や「勤続」を基本給の決定要素にしている企業は多い。これは、過去からのしがらみに囚われているというよりかは、日本人(日本企業)の志向の根底に「長期勤続に対する報奨」という価値観が深く根付いてしまっているからだと推察される。

基本給の決定要素が決まれば、おのずからその構成は決まってくる。決定要素が1つであれば構成項目も原則は1つであり、決定要素が2つになれば構成項目も2つに分けるのが基本である。これは、決定要素によって、基本的な「昇給のあり方」が異なるからである。
なお、別途設計する評価制度において、例えば「能力評価」と「業績評価」を採用し、これら2つの総合評価によって基本給の改定を行う場合には、結果論として、構成項目は1つだが決定要素は2つということも起こりえる。このような考え方や仕組み自体は一般的ではあるものの、"能力という下方硬直的な要素"と"業績という変動的な要素"をミックスして給与改定を行うことになるため、決定要素と支給額の相関があいまいになりやすいという点を理解しておかなければならない。あいまいになるのを避けたければ、基本給の構成項目を「能力給」と「業績給」の2本立てにすべきである。

次回(以降)のブログでは、基本給設計時における「②隣り合う賃金レンジの関係性」について解説したいと思う。

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※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。