「求人を出せば応募が来る」は、もう通用しない?
中小企業が知っておきたい、採用を取り巻く「3つの環境変化」
採用・定着
「求人媒体を増やしても、若手からの応募が集まらない」
「応募はあるものの、求める人材とはなかなか出会えない」
「ようやく採用できても、入社後すぐに離職してしまう」…
中小企業の採用現場でよく聞く悩みです。
若手採用の苦戦原因として、「そもそも若年層の人口が減っているから」「大手企業に人材を取られているから」と考えてしまいがちですが、それだけではありません。
今、採用市場では、労働市場、採用市場、そして若年層における就職観そのものが、大きく変化しています。そのため、「以前と同じ採用活動をしているのに、なぜか採れなくなった」という企業は、採用努力が足りないのではなく、採用を取り巻く環境そのものが変わったことへの対応が追いついていないのかもしれません。
本コラムでは、中小企業がこれからの採用戦略を考える上で押さえておきたい、「採用を取り巻く3つの環境変化」を紹介します。
本コラムのポイント
●労働市場の変化
➡「企業が求職者を選ぶ時代」から「求職者が企業を選ぶ時代」へ
●採用活動の変化
➡「求人を出して応募を待つ受動型採用」から「魅力を発信し続ける能動型採用」へ
●若手の就職観の変化
➡「給与や地位」だけではなく、「成長・働きがい・働きやすさ」など多面的な魅力を重視
Ⅰ.「企業が選ぶ」から「求職者が選ぶ」へ――労働市場の変化
日本における生産年齢人口(15歳以上64歳未満の人口)は1995年の約8,716万人から減少に転じており、2025年では約7,170万人、2055年には約5,028万人まで減少するとされています。つまり、企業が必要とする働き手、特に若年層の人口そのものが、今後益々減少していきます。
〔※出典:総務省「令和4年度版 情報通信白書」〕
さらに、大手企業においても人材確保の方法が変化しています。新卒一括採用を中心とした従来型の採用だけではなく、中途採用や専門人材の採用を重視する動きが広がることで、これまで以上に中小企業と大手企業が同じ人材を取り合う場面が増えています。
そして、もう一つ見逃せないのが「働き方の多様化」です。コロナを契機にリモートワークなどが普及したことで、勤務地の制約が小さくなりました。それにより、以前であれば地元企業が主な採用競争相手でしたが、現在では全国の企業が採用競争相手となったことで、より人材確保が困難となっています。
以上の環境変化を踏まえると、現在の採用市場は、「企業が求職者を選ぶ時代」から
「求職者が企業を選ぶ時代」へと変化していると言えます。
Ⅱ.「求人を出して待つ」から「魅力を発信する」へ――採用活動の変化
これまでの採用広報活動は、ハローワークや採用媒体に求人を掲載し、「それを見た求職者からの応募を待つ」という受動型の採用が中心でした。
しかし、売り手市場が進行する昨今、この「待つ採用」だけでは、求める人材を獲得することが難しくなっており、企業側から積極的に情報を発信し、求職者の「認知」や「興味」を獲得する能動型の採用が求められています。具体的には、求人票だけでなく、採用サイトやSNS、口コミ、オウンドメディア、ダイレクトリクルーティングなど、さまざまな採用チャネルを活用しながら、自社の存在や魅力を継続的に発信していくことが求められています。
また、求職者が企業を知る方法も多様化しています。現在は、求人媒体だけでなく、SNSや口コミ、採用サイトなどを通じて、応募前から企業について調べることができます。つまり求職者は、求人票に書かれた情報だけで企業を判断しているわけではないのです。
だからこそ、採用広報活動は単なる「求人掲載」ではなく、「自社を知ってもらい、興味を持ってもらい、応募先の候補に入れてもらうためのマーケティング活動」へと変わっているのです。
Ⅲ.「給与・安定」だけでは選ばれない――若手の就職観の変化
これまで「安定」といえば、「大手企業に勤める」「終身雇用で長く働く」「高い収入を得る」といったイメージを抱く方も多くおられました。
一方、現在の若年層の中には、「先行き不透明な時代でも豊かな生活が送れるよう、自分自身の市場価値を高めることができる環境に身を置くこと」を安定と捉える人も増えています。つまり、「この会社で一生働き続けられるか」だけではなく、「この会社で働くことで、自分は成長できるか」という視点で企業を選ぶ傾向が強まっているのです。
また、給与などの処遇だけでなく、成長環境、仕事の裁量、教育体制、働きがい、ワークライフバランスなど、仕事を通じて得られる「経験」や「環境」も企業選びの重要な要素となっています。
Ⅳ.これからの採用に必要なのは「採用競争力」
先述の通り、現在の採用市場では、
①労働市場が変わった
②採用活動の方法が変わった
③求職者の企業選びの基準も変わった
という、3つの変化が同時に起きています。
だからこそ、「求人媒体を増やせば採用できる」「給与を上げれば応募が増える」といった単一の施策だけでは、採用難を解決することは難しくなっています。
そのため、これからの中小企業における人材採用は、
●誰に来てほしいのか、その人は何を求めているのか(=求める人材)
●自社にはどんな魅力があるのか(=アピールポイント)
●その魅力を、どのように求職者へ伝えるか(=広報手法/手段)
を考え、採用活動全体を戦略的に設計すること、そして「今までの採用をもっと頑張ること」ではなく、「今の採用環境に合わせて、採用のやり方そのものを変え、採用競争力を高めること」が重要です。
Ⅴ.採用環境が変化した“今”だからこそ、採用・定着施策の抜本的改革を!
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※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。
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