日通が、同一労働同一賃金を先行導入

日本通運が、今年2019年4月より、フルタイムの非正規社員の賃金を、転勤のない正社員と同水準まで引き上げる方針を打ち出しました。
 
昨年成立した、働き方改革関連法案の中の同一労働同一賃金部分の適用は、大企業でも2020年4月からですので、1年前倒しで対応することになります。フォークリフト運転手のほか、営業職や事務職なども対象ということで、人手不足が著しい物流業界とはいえ、思い切った判断と言えます。
 
これまで、
 
 転勤あり正社員>転勤なし正社員>フルタイム非正規社員≧パートタイム非正規社員
 
であった、賃金水準が、
 
 転勤あり正社員>転勤なし正社員=フルタイム非正規社員>パートタイム非正規社員
 
という構図になることが予想されます。
 
フルタイム非正規社員にとっては望ましいことですが、今度はパートタイム非正規社員との格差が開くことになり、「非・非格差」がどうなるのか、気になるところです。
 
昨年2018年12月28日、厚生労働省は「同一労働同一賃金ガイドライン」を正式に公表しました。しかし、こんなに重要な資料の発表が、ほとんど報道されず、そのため企業の人事部門ですら、しばらく気づかない状況でした。わざと知られないようにしたのではないかと、勘繰りたくなるくらいです。
 
2016年12月に発表されていた「同一労働同一賃金ガイドライン案」には記載がなかった、家族手当、住宅手当、退職手当(退職金)についても、「不合理と認められる待遇の相違の解消等が求められる」という文章が追加されています。結論としては、裁判所の判断や企業の労使協議に委ねる、ということでしょうが、記載された以上、今後さまざまな場所で議論の対象になることは確実です。
 
以下のサイトに、「人事部門必見! 同一労働同一賃金ガイドラインへの対応策」を記載しました。

https://douitsu-chingin.com/column/731/
 
まずは、「同一労働同一賃金ガイドライン」と一緒に、目を通してみてください。

執筆者

山口 俊一 
(代表取締役社長)

人事コンサルタントとして20年以上の経験をもち、多くの企業の人事・賃金制度改革を支援。
人事戦略研究所を立ち上げ、一部上場企業から中堅・中小企業に至るまで、あらゆる業種・業態の人事制度改革コンサルティングを手掛ける。

※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。

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