会社の魅力の伝え方―中小企業が学生に伝えるべきアピールポイントとは?―
採用・定着
本ブログのポイント
- 学生へのアピールポイントを考える際は、「応募数を増やすこと」ではなく、「自社の成長に貢献する人材(求める人材)を獲得すること」を出発点にすることが重要である。
- 多くの中小企業は「休日数」「残業の少なさ」「福利厚生」などの働きやすさを強調しているが、それだけでは主体性や成長意欲の高い人材とのミスマッチが起こりやすい。
- 自社の魅力・強みを整理するには、「理念」「仕事・事業」「人」「特権(制度・待遇)」の4要素で考えるフレームワークを活用すると、抜け漏れなく整理できる。
- 学生は給与や福利厚生だけで企業を選んでいるわけではなく、「人間関係」「成長環境」「会社の雰囲気」「独自の強み」なども重視しているため、それらを具体的に訴求する必要がある。
Ⅰ.貴社のアピールポイントは明確ですか?
突然ですが、質問です。
今、学生に対して個別の採用説明会を行っているとします。概ね会社説明が終わった後に、学生に対して「何か質問はありますか?」と聞いてみると、以下の質問がありました。
『貴社の魅力・強みは何ですか?』
さて、この質問に対して、どう答えるべきでしょうか…?
日々、中小企業の採用現場に携わる中で「学生にはどのようなアピールポイントが響くのか?」「ウチが打ち出すべき魅力は何なのか?」ということについて、ご相談をいただきます。
一方、様々な企業が掲載している求人原稿を拝見する中で、最近強く感じることがあります。それは、学生からの応募を増やそうとするあまり、処遇面や労働条件、福利厚生を重点的にアピールする中小企業が多いということです。
例)年間休日〇日、残業ナシ、初任給〇万円以上、福利厚生充実など
確かに、昨今の学生は安定志向が強く、処遇や働きやすさ、福利厚生を重視しているケースが多いため、これらの衛星要因に関する情報発信自体は必要不可欠でしょう。
ただ、今一度考えて頂きたいことがあります。それは、働きやすさ(衛星要因)を重視する学生が、貴社にとって本当に欲しい人材なのかということです。あくまで私の経験則だけの話かもしれませんが、今までご縁のあった経営者や採用責任者の中で「働きやすさを重視する学生が欲しい」と考えている方は多くありません。むしろ、「若手から裁量を持ってバリバリ働いてほしい」「主体性をもって働き、1日でも早く会社の戦力となってほしい」と考えている経営者の方が多いように感じます。
ただ、上記のような求める人材を掲げる企業であっても、求人原稿や採用説明会でアピールしている内容が、休日の多さや残業の少なさなど、働きやすさを重視する学生に響く内容のみに終始していることが多いのです。
このように、欲しい人材と自社がアピールポイントしているポイントがずれていれば、当然ながら欲しい人材の獲得にはつながりません。
そのため、自社のアピールポイントを検討するに当たっては「応募を増やす」ことを出発点とするのではなく、「自社の成長・発展に寄与する人材(求める人材)を獲得する」ということを出発点にした上で、その人材に響く、自社ならではの魅力は何なのか?を考えることが重要です。
Ⅱ.自社のアピールポイントを明確にするには?
❶フレームワークを活用し、自社の魅力・強みを洗い出す
自社が学生に訴求すべき魅力・強みを明確にするためには、そもそも自社には、どのような魅力・強み、働きがいがあるのかを抜け漏れなく洗い出しておく必要があります。
一方で、「自社の魅力・強みとは何か?」という漠然とした問いでは洗い出しが困難となりますので、自社の魅力・強みを洗い出しに使えるフレームワークをご紹介します。
下図は、4P戦略というマーケティングフレームを採用版に置き換えた、採用版4Pと呼ばれるフレームワークです。社会心理学上、人が組織に共感する要素は大きく4つあると言われており、それが「理念」「仕事・事業」「人」「特権」です。この4Pフレームを活用することで、自社の魅力・強みを抜け漏れなく洗い出すことができます。
❷求める人材をもとに、訴求すべきキーワードを選定する
魅力・強みの洗い出しが完了すれば、次は求める人材に響くキーワードを選定します。
下表は、学生が就職先を選ぶ際に注目するポイントをランキング形式で記載したものです。ご覧の通り、ベスト3は「福利厚生」「給与・賞与」「社員の人間関係」、単一回答では、「成長環境」「人間関係」「福利厚生」が上位に挙がっています。
ここで注目頂きたいのは、給与・賞与といった処遇面は、重視されているものの、最も重視しているポイントにはならない。言い換えれば、学生は給与だけで企業を選んでいるわけではない、ということです。そのため、単に仕事内容や給与のみを訴求するのではなく、「人の魅力」「成長環境・福利厚生の魅力」を軸に、新卒でも馴染みやすく安心して長く働ける職場環境があること、あるいは着実に成長できる環境があり、若手から第一線で活躍できることを求人原稿等で訴求することが重要と言えます。
また、下表は中小企業を受けた理由を学生に聞いた調査データとなっており、「会社の雰囲気が良い」「やりたい仕事に就ける」「企業として独自の強みがある」という項目が上位に挙がっています。
こういった、大手企業ではなく、中小企業に興味関心を持つ学生が何を魅力として感じているのか?といったニーズも踏まえて、自社ならではの魅力に磨きをかけることが重要です。
Ⅲ.【事例】アピールポイントに磨きをかけ、120名以上の応募を獲得した地方中小企業
手前味噌ではありますが、最後に当社の支援事例をご紹介いたします。
この企業では、先述した採用版4Pをもとに魅力・強みを洗い出し、その内容を求人原稿の冒頭に「我が社の3つの特徴」として掲載しました。結果、学生に伝えたい自社のアピールポイントを端的に分かりやすく訴求できたことで、120名以上の応募を獲得することができました。
なお、自社の魅力・強みを下表のようにまとめておけると、新卒向けの採用説明会資料や面接時のPRネタなど、汎用的なツールとして活用することができます。自社のアピールポイントにおけるアウトプットイメージとしてご参考ください。
※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。





