企業年金の将来像(2) 確定拠出年金の将来
年金・退職金
企業年金の将来ということで、2回目は確定拠出年金です。確定拠出年金の特徴については【適格年金移行先の選択眼(3) 確定拠出年金】のところで述べました。
-以下、再掲-
(1)確定拠出年金への移行のポイントは、以下の3点。
①給付は3種類、そのうち老齢給付は60歳以降
②自己責任による運用
③転職先に持ち運びができる
(2)確定拠出年金の導入範囲をどこにするか、適年からの移行時には個人別の移換額をどうするか、がポイント
確定拠出年金(以下、DC)は現在、企業型年金承認規約数3,371件、企業型年金加入者数約3,572千人(平成22年5月末)(速報値)、実施事業主数13,222社 となっています。(直近の厚生労働省ホームページより) また従業員数でみた導入企業の割合をみますと、なんと80%が300人以下の中小企業で占められています(13222件中、10588件)。中小企業の社長がよく「うちのような中小企業は401kは合わない」と言われるのを耳にしますが、実際に導入しているのはほとんどが中小企業であることがわかります。
DCを導入する企業は確実にこれからも増えていきます。なぜなら日本の経済が、老後資産については自己責任で準備しなければならない時代となったからです。公的年金はこれからも目減りし、企業も長期債務を抱え込むにも限度があります。そこで出てくる選択肢はDCを導入し、毎年キャッシュを支払いながら、老後の資産形成のために社員が自己責任をもって運用を行うことです。
しかし資産運用の不慣れな社員にとっては、DCは不安な制度です。そうした不安を払拭するためにも、社員教育に力を入れていかなければならないことは言うまでもありません。
※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。
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