企業年金の将来像(1) 確定給付企業年金の将来

それでは企業年金を導入するにあたって、各制度が将来どれくらい有効かをみていきたいと思います。
 
1回目は確定給付企業年金です。確定給付企業年金の特徴については【適格年金移行先の選択眼(2) 確定給付企業年金】のところで述べました。
 
-以下、再掲-
 
(1)確定給付企業年金への移行のポイントは、以下の3点。
   ①年金給付は60歳以降
   ②受給資格期間は20年、3年以上には脱退一時金
   ③財政検証ルールが厳しくなる
 
(2)運用リスク、債務増大リスクに注意
 
2009年の夏から秋にかけて、日本航空(JAL)の企業年金の問題が話題になりました。
要点は、
 
経営難により、JAL従業員のための将来の年金給付が維持できなくなった
そのため、すでにもらっている受給者および現役従業員に対し、給付減額の申し出を行った
受給者は、約束された給付額を減額するのは違法であるとし、同意拒否の姿勢を示した
結局、同意要件がまとまり、会社の提示した減額要求に従わざるを得なくなった
という内容でした。
 
この問題は、大企業を中心とした日本企業における企業年金の典型的な事例といえます。論点はいくつかにわかれますが、かつての企業年金を会社が維持できなくなっていることは、多くの企業の共通した問題といえるでしょう。
 
給付減額措置については厚労省で安易な減額を許さないとして、一定の要件が定められていますが、会社が倒産してしまっては企業年金どころの話しではありません。これから経営環境が大きく変化する時勢において、リスクを内在する確定給付型年金をどこまで維持できるのか、導入企業は真剣に考えなければならないでしょう。

※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。

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