人事理念を策定する

人事制度を構築する際には、その企業の人事理念をベースに各制度を設計していくことになります。
 
人事理念とは、その企業がもつ、人材や人事諸制度に対する基本的な考え方です。経営理念を掲げている会社は多く見られますが、人事理念を明確に打ち出しているケースは、まだまだ少ないようです。
 
人事制度コンサルティングを行う際には、企業経営者層を対象に、次のようなヒアリングを行います。
 
1:どのような組織にしたいか
2:どのような人材を求めるか
3:わが社における評価の考え方
4:わが社における報酬の考え方
5:わが社における教育・育成の考え方
6:ワークライフバランスについて
 
最近も、いくつかの会社で人事理念をまとめることになり、経営者にヒアリングすることになりました。すると、各社各様に全く異なった方針が出てきました。
 
例えば、報酬についても、「皆で力を合わせて利益を上げ、全員で(あまり差をつけず)分ければよい」という会社もあれば、「報酬は貢献度に応じて決定させるべき。大きな個人差がつくことも厭わない」という発想の企業もあります。無論、どちらが良くて、どちらが悪いということはありません。重要なことは、人事制度や人事政策が、理念に沿ったものになっているかどうか、ということです。
 
また、人事理念を策定する際には、アンケートなどで社員の意見を集めた上で、まとめていくという方法も有効でしょう。トップが気付いていない自社の良さや組織的な特徴を、発見できることもあるからです。
 
できあがった人事理念は、積極的に社員に伝え、浸透させる努力が重要となります。一般的に、強い会社は、理念が組織全体に浸透しています。それが、日々の一貫した言動や判断として現れるからです。

執筆者

山口 俊一 
(代表取締役社長)

人事コンサルタントとして20年以上の経験をもち、多くの企業の人事・賃金制度改革を支援。
人事戦略研究所を立ち上げ、一部上場企業から中堅・中小企業に至るまで、あらゆる業種・業態の人事制度改革コンサルティングを手掛ける。

※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。

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