キャリアパスの設定方法 (1)

キャリア・パスの設定
社員自身によるキャリア開発に加え、会社として、中長期的視点で社員にどのような就業の機会を提供するのかを明示する必要がある。 その際、「縦のキャリア」(昇格ライン)と「横のキャリア」(職務の幅)を設計する。
 
縦のキャリアを明示することで、仕事の業績によって将来どんな地位の可能性が開けるかという道筋を示し、インセンティブ効果を図る。 横のキャリアに関しては、まずは職種の分類をし、職種ごとの仕事の定義づけ、期待成果や責任を明確にする。一方、職種間の異動の可能性の有無や、異動させる場合、どの時期にどんな順序で仕事を経験させていくかというモデルを想定してみる。
 
コース別人事制度
「横のキャリア」(職務の幅)を設定する一例として、「コース別人事制度」が挙げられる。
 
1:内容
コース別人事制度は、社員の希望や価値観に合わせた人事制度を複数設定し選択させることで、多様な価値観をもった人材の確保や、柔軟な人件費管理を実現する狙いがある。 「基幹業務を担当する総合職」「補助的業務を担当する一般職」といったコース分けを実施している会社が多い。最近では、職種別や勤務地域別といった形態も増えてきており、自社に合致したコース設定が可能である。
 
人事制度の検討要素としては、
 
・職務内容
・勤務地(転勤の有無)
・昇進・昇格の制限
・賃金形態と水準
・教育制度
 
などが挙げられる。 また、コースごとの選考基準、コース間の異動ルールについても取り決めておく。
 
2:導入の際の留意点 
コースの定義や方針があいまいなために、運用しているうちに明確な区別ができなくなってしまうケースがある。また、コースを完全に分けてしまったために、組織編成や人事政策の制約となってしまうことも考えられる。導入の目的やメリットが不明確なまま、導入してはならない。

※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。

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