人事評価シートのつくり方②

評価項目の設定方法
前回、評価シートは職種別・階層別に作成する必要があるということを述べた。 評価項目は単に社員の査定を行なうためのものではなく、社員に意識してもらいたいことや 実践してもらいたいことを表わさなければならないからである。
 
職種や役職に応じて、実践してもらわなければならないことは異なるので、 全社員同一の評価シートでは、評価制度の目的を果たすことができないからである。
 
評価シートにある評価項目の内容を社員に意識させることにより、 社員の業務遂行能力や業務に対する姿勢が変革していくことになる。
 
では次に、何を社員に意識させなければならないかということを考えてみたい。 一つは、企業が顧客に何らかの付加価値を提供するために、 社員に求められる成果は何かということである。 言い換えると、社員にどのような結果を出してもらいたいのかということである。 二つ目は、その成果、結果を出すために、社員のどのような行動をしてもらいたいのか、 どのようなプロセスが必要になってくるのかとういうことである。
 
成果・業績評価
一つ目の社員に求められる成果や結果を評価項目としたものを成果・業績評価と呼んでいる。 これは、仕事を通じてどのような結果を出してもらいたいのか、 どのような成果を上げてもらいたいのかという結果指標である。
 
営業職などは非常にわかりやすいが、求められる結果としては、 売上高や粗利益高の確保、または新規顧客の開拓、確実な売り掛け回収などが求められる。 これらを営業職の評価項目として設定する。
 
製造職であれば、原価低減、不良率の低減、リードタイム短縮などが求められるであろう。 このように職種ごとに、何が結果や成果として求められるのかということを明確にしていくわけである。
 
職務・プロセス評価
二つ目は、上記で求められる結果を出すために必要なプロセスや職務能力などで、 職務・プロセス評価と呼ばれるものである。 社員に結果だけを求めると、短期志向になり継続的な成果が出すことはできない。 継続的に成果を上げていくには、その先行指標である、プロセスや取り組み、能力を評価しなければならない。
 
営業職であれば、商談技能、顧客訪問、キーマン把握、プレゼンテーション力、商品知識、業界情報の収集などが挙げられる。 製造職であれば、生産計画立案、改善・提案、品質改善、5Sの取り組み、工具の取り扱い、機械メンテナンスなどが考えられる。
 
具体的な内容は、会社ごとに異なるであろうが、 その職種、業務に必要な結果指標と先行指標を評価項目とし、 社員に意識させ、業務の中で推進させていくことがポイントである。
 
◆関連リンク
人事評価シートサンプル一覧
人事評価(人事考課)制度策定・構築コンサルティング

※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。

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