求める人材像を再考する(1)

面接に関する悩みや課題でよく聞くのが、「面接官によって目線のバラつきがある」、「面接官を固定すると、その人の好みの人材ばかりになってしまう」といったものです。
このような問題の原因は、「求める人物像」が不明確なことです。

 

「求める人物像」が不明確であると、上記の他に①採用したいと思う人物にそれが伝わらない ②アピールポイントがずれた内容になる ③面接で何を聞き、判断して良いのかが分からない等の問題が起こります。

 

そこで、今回採用する人物には入社後に何をして欲しいのか、どのような活躍を期待しているのかを考え、そのためにはどのような経験や知識・スキル或いはマインド(志向)が必要なのかを明文化し、具体的な評価の項目と合否基準を作ることが必要です。

 

そのためには、社内の複数のメンバーで「自社らしさとは何か」、「自社で求める成果とは何か」、「どんな行動をとれる社員が必要か」等について話し合い、評価の項目を洗い出し、整理することが重要です。このようなプロセスを経ることで、面接官が共通の評価基準を持ったうえで選考に臨み、採用ミスの発生を抑えることが容易になります。

 

なお、求める人材像は、単に”積極性”や”協調性”といった単語だけではなく、それらの言葉は自社ではどのような意味なのか、どんな行動を指すのか、といった言葉の定義を明確にすることが重要です。例えば、一言で協調性と言っても、「自分のことはそっちのけで他人を手伝う」、「他者の意見が食い違っている時に、上手く調整する」、「空気が読める」等、人によってイメージする力が異なります。

 

そこで、自社でいう協調性とは「意見の違いや立場の違いがあることを前提に、都度最善の方向に導くことができる」等、具体的にするとともに、過去にそのような経験があったかどうかを面接で確認することが、本当に自社が求める人材を採用する近道です。

 

また、求めない人物像も合わせて明確化することで、良いところにばかり注目し、悪い部分を見逃してしまうことによって、会社に損害を与えたり、周囲に悪影響を及ぼしたりするような社員を採用してしまうという、大きな採用ミスを防ぐことが可能になります。

 

なお、求める人材像は1種類でなくても構いません。私が過去に採用の支援を行った企業では、新卒採用において「地頭が良く、行動力と対人関係力が高い企画営業向きタイプ」と「やや対人関係力は弱いものの、粘り強さや探究心が強い、製品開発向けタイプ」の2種類に分け、それぞれに違った自社のアピールを行うとともに、面接方法も変えていました。

 

まずは直近2~3年に採用した社員の中から、特に活躍している社員を選び、その共通点を洗い出してみること等から始めてみると良いでしょう。

※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。

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