求める人材像を再考する(2)
採用・定着
前回、求める人材像について、主に具体的な評価の項目と合否基準を作る方法をお伝えしました。面接官向けの研修等でこの内容をお伝えした際によく出る質問として、「そうは言ってもどんな評価項目にしたいいのか分からない」というものがあります。そこで、求める人材像の項目を考えるヒントをいくつかお伝えします。
まず1つ目は、自社の理念にもとづいて考えるという方法です。企業は「経営理念を実現するため」に存在しているわけですから、経営理念を実現するために必要な行動が出来る社員を採用したいはずです。
そして、その必要な行動というものは、多くの場合社訓や行動指針、ウェイ、バリュー等で表現されています。まずはそれらが有るか無いかを社内で確認し、ある場合はそれに基づいて採用の基準を考えてみることをお勧めします。
2点目は、自社の人事評価の内容を基に考えるという方法です。自社の人事評価には、社員に期待する役割や行動、姿勢、能力等が含まれていることが多くあります。
この人事評価に書かれている内容と、採用活動時の求める人材像がずれていると、「優秀だと思って採用した人物が、入社後に評価をすると点数が低く昇格できない」という問題が生じます。これは、採用した側にとっても採用された側にとっても不幸なことです。
よって、そのようなずれが生じないよう、採用の基準を考える必要があります。
3点目は、社会人基礎力を参考にする方法です。「社会人基礎力」とは、「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」の3つの能力(12の能力要素)から構成されており、「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」として、経済産業省が2006年から提唱しています。企業や若者を取り巻く環境変化により、「基礎学力」「専門知識」に加えて、それらをうまく活用していくための「社会人基礎力」を意識的に育成していくことが今まで以上に重要となってきています。
http://www.meti.go.jp/policy/kisoryoku/
これら能力は、業種や職種によってその強弱はあるものの、どれも社会人として仕事をしていくために重要な能力であることは間違いありません。ただし、12の能力全てを兼ね備えた人物は、特に学生では稀であるため、自社にとって特に重要な能力を3つから5つ程度選択して使用することをお勧めします。
以上の3点を参考に、求める人材像を考えてみてください。
※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。