ライフプランと退職金

ライフプランといえば、何を思い浮かべるでしょうか? 結婚、就職、出産、旅行、住宅購入、定年・・・これらの人生に関わる出来事をライフイベントといいます。ライフイベントには必ずといっていいほど「お金」がつきまといます。つまり、ライフプランとは「ライフイベントとそれに伴うお金の計画」と考えることができます。
たとえば生命保険会社(特に外資系)との契約を結ぶ際には、このライフプランを利用して、将来の収入と支出、そしてもしものことがあった場合、どれくらいのお金が必要かといったことをもとに、必要な保険額を計算する手法をとっています。
 
筆者はライフプランがこれからますます重要になると考えます。その理由は、「老後」にまつわるお金の計画、生活設計が今後次第に難しくなるからです。その一番の理由は、いうまでもなく《年金が目減りする一方、高齢者医療負担・消費税負担等、支出増は避けられない》ことが明白だからです。ライフプランは大きく2つのステージで考えることができます。
 
1つは60歳までの「現役ライフプラン」。このステージのメインテーマは「仕事上の目標とそれに伴う収入」「教育費用」「住宅費用」です。住宅のお金の算段はもちろんのこと、教育費は大学まで卒業させるのに家1軒建つくらいのお金がかかることも想定されます。また最近はそこに「介護に伴う費用」なども必要になってきています。ここでの理想は「60歳までに住宅ローンを返済する」「教育費用負担を終える」ことと言われています。それが実現すれば、次のステージで「マイナスからのスタート」を避けることができるからです。
 
次に60歳以降の「老後ライフプラン」、このステージで考えられる「収入」にはどんな項目があるでしょうか。その主な内訳は次のとおりです。
 
  ①公的年金収入 (何歳からいくらの年金がもらえるか)
  ②企業年金・退職金収入 (同上)
  ③再雇用、パート等の労働収入
  ④資産の取り崩し(貯蓄、投資信託等)
  ⑤その他収入(家賃収入等)
 
一方の「支出面」は、家族(夫婦)の生活費、旅行や趣味など人生を楽しむためのお金、医療費、住宅ローンの返済の残り、等々です。老後の楽しみやりがいを持ちつつ、うまくマネーのバランスを取り続けることが必要です。
こうしたライフプランは、40代のうちに一度立ててみるといいでしょう。そうすると、第一目標である60歳までの10数年のプランが明確になり、その後の計画が立てやすくなります。
 
経営者や人事担当のみなさんには、ぜひ社員にこうした情報を伝えていただきたいと思います。退職金を手厚く準備することは難しい時代となりましたが、社員が退職後もスムーズに次のステージに移行できるよう、「支援」することはまだまだできそうです。弊社も退職金や企業年金の制度見直しの支援だけでなく、こうした社員のための支援活動も行っていきたいと考えています。

※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。

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