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昇格条件の厳格化を通じた人件費高騰の回避

2021年07月01日 カテゴリ:人事考課(人事評価)

執筆者:田中 宏明

人事戦略研究所 コンサルタント

前職のシンクタンクでは社員モチベーションの調査研究に従事。数多くのクライアントと接するなかで、社員の意識改善、さらには経営課題の解決において人事制度が果たす役割の重要性を実感し、新経営サービスに入社。 個人が持てる力を最大限発揮できる組織づくりに繋がる人事制度の策定・改善を支援している。

先日、お客様より次のようなお話しをお伺いしました。「先期の業績が目標に大幅未達だったため、今年の昇格者を例年よりも減らした」ということです。同じように、昇格判断に不安を持たれる会社も少なからずあるのではないでしょうか。

特に、昨今の長引くコロナの影響で業績の先行きが見通せないというような状況では、昇格は固定的な人件費である月給の増加を招くため、財務的なリスクとなりえます。

しかし、外部環境の変化のみを根拠とした昇格の抑制は、社員の強い不満につながりかねません。例えば本人の能力により等級を決定する職能等級の場合、会社の昇格条件を満たす能力が認められさえすれば、会社の業績に関わらず昇格するというルールであり、外部環境の変化による昇格抑制には根拠がありません。業績が悪いから昇格できないという説明では、特に優秀な社員は納得せず、キャリアアップを求めた離職など組織面での課題につながるかもしれません。(なお、付与する役割や職務により等級を決定する役割等級や職務等級の場合、昇格の抑制という考え方自体が存在しないため、今回の考慮の対象からは除外します)

このように、社員の昇格は人件費の高騰を招く財務的なリスクがある反面、根拠に乏しい昇格の抑制は、モチベーション低下や離職等の問題を誘発する人事的なリスクも併せ持っています。

そこで対処の方法としてお勧めしたいのは、昇格条件の厳格化・高度化という方法です。つまり、昇格判断の際に現在用いている観点やレベル(=昇格条件)がないのであれば、それを策定し厳格に運用する、あるいはすでに存在するのであれば、新たな観点を付加したり、既存の昇格基準のレベルを高めたりすることで、真に選ばれし社員のみ昇格させるようにし、無駄な月給の上昇を抑制します。

この場合、社員に対する伝え方としては、経営環境の変化により従来と同じやり方では組織の成長も見込めないことから、これまでよりも高度なレベルを要求する、というものになるでしょう。単に業績悪化のみを理由とするよりも、道理の通った説明が可能となります。

新たな昇格条件の浸透を通じて、社員のレベルアップも実現できるかもしれません。昇格判断に不安を持たれている会社は、これを機に見直されてみてはいかがでしょうか。

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※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。

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