キャリア・パスの設定方法 (2) ポジションの設定

魅力あるポジションの設定
ポジションを設定する限り、それが社員から見て魅力的なものでなければならない。昔のように「出世=管理職」という単一な価値観が通用しない現代においては、逆に「管理職=やっかいな責任・職務だけを押し付けられる立場」というネガティブイメージを持つ人も多い。
 
ポジションに対する前向きなイメージを醸成するためには、形から入るわけではないが「ネーミング」も重要な要素である。例えば、ブライダルプランナー、マスターセラピスト、○○コーディネーター、○○コンサルタント、△△ディレクターなど、ネーミングを単なるイメージだけにとどめず、それぞれの業界内での重い立場を想起させたり、社内資格制度とリンクさせ、取得の重みを持たせるなどし、おのずと多くの社員がそれを目指すように腐心しなければならない。
 
適切なステップ数
入社時の位からスタートし、最高位に到るまでのステップ数はどれ位が適当だろうか?
一時期「フラット型の組織」という言葉がもてはやされたが、それは指揮命令系統のフラット化が主眼にあり、ここでいう仕事レベルのランク付けも単純にフラット化してしまったがために、かえって成長ステップがイメージしにくくなったという話をよく聞く。
 
社員の成長意欲とモチベーションを保つために、ある程度のステップはあったほうがよく、現場業務に即したランク分けとバランスをとりながら、最適なステップ数を設定したい。
 
ワークスタイル・処遇の連動
上記のランクにより、手当などの処遇面で格差をつけるのは当然のことである。しかし、それだけに終わってしまってはもったいない面もある。職種・業種にもよるが、ワークスタイルの観点で、上位者にメリットを享受してもらうことが、上位者のモチベーションにとっても、下位者の目標設定においても有効である。
 
例えば、休暇制度との連動。上位者に対して有給の「リフレッシュ休暇」などを設け、場合によっては旅行券などの特典も付与する。会社によっては、内実は法定有休の取得促進に過ぎなくても、それはそれで悪い話では無い。
 
次の観点として、「教育機会の提供」が挙げられる。これもさらなる成長機会・情報収集機会を会社負担で提供することで、上位ランク到達が決してゴールではないという緊張感を持たせられるし、会社へのロイヤリティ向上にも一役買うことになるだろう。
 
以上のように、社員が自分や他者の位置づけ(ポジション)に納得し、かつ長期的に成長意欲を持続しながら働くための工夫が必要となる。

※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。

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