評価制度 運用マニュアル作成のコツ③

引き続き、評価運用マニュアル作成のコツについてお話します。
今回は「ルール」と「留意点」に焦点を当ててみます。
 
 

「評価運用マニュアル作成のコツ①」でもお伝えした通り、「ルール(決まり事)」と「留意点(気をつける点)」が混在していると、本来の「ルール」がわからなくなることがありますので注意が必要です。
 
例えば、目標管理や目標達成度評価の補足説明について、次のような文章があったとします。
 
 ①人材育成に関する目標を1つ以上立ててください
 ②定性的な目標は「正早安楽」の観点で目標を立ててください
 ③目標の設定個数は、一般職は2個以上、管理職は3個以上を設定してください
 ④目標を設定する際は、ストレッチな内容を掲げてください
 ⑤目標は、上司と相談の上で最終決定してください
 
どれがルールで、どれが留意点でしょうか。
このように、ルールと留意点を混ぜてしまうと、本来ルールであるものがそうとは認識されずに、形骸化したり暗黙の了解ができたりします。
 
例えば、売上や粗利などの数値目標を立てやすい営業職にとっては、定性的な目標を設定しないこともありますので、➁はあまり関係がありません。そうすると「営業職は①③④⑤に従い目標を設定するが、➁は気にしなくて良い」と解釈され、実際にそうした運用になるでしょう。
明確な決まりがないまま、〇〇のケースは適用外という各人の解釈にゆだねる状態になると、運用をする上で様々な適用外ケースが生み出されます。気がつけば、本来守ってほしいルールが、あちらの部では運用されているけど、こちらの部では運用されていないといったことにつながりかねません。
 
今回の5項目については、例えば以下のように区分できるでしょう。
 
<ルール>
 ①人材育成に関する目標を1つ以上立ててください
 ③目標の設定個数は、一般職は2個以上、管理職は3個以上を設定してください
 ⑤目標は、上司と相談の上で最終決定してください
 
<留意点>
 ②定性的な目標は「正早安楽」の観点で目標を立ててください
 ④目標を設定する際は、ストレッチな内容を掲げてください
 
※④を「ルール」とすることもあるでしょう。「留意点」としておくことで複数の目標を設定する場合において、本人にとってストレッチではないものの戦略上重要であるため加える、というケースが考えられます。
 
このように整理することで、何を守るべきで、何に気を付けるべきかが、わかりやすくなります。
 
また、ルールを変更したい時にも検討がしやすく、読み手にとっても親切です。
 
運用マニュアルは、大前提として「ルール」がわかりやすくまとめられていることが大切です。
「ルール」か「留意点」かを見極めた上で、まずは「ルール」を確実に記載しましょう。
「留意点」は、挙げるときりがないこともありますので、多くなってしまうようであれば思い切って割愛することも一案です。
 
 

3回に分けてお話してきましたが、今回の記事で「マニュアル作成のコツ」は終了です。
スムーズな評価運用に向けて、マニュアル作成にぜひ取り組んでみてください。

執筆者

西澤 美典 
(人事戦略研究所 シニアコンサルタント)

前職の製造系ベンチャー企業では、営業・人事・総務・WEB制作担当等の実務に従事。
経営者の間近で幅広い業務に携わり、様々な企業や人との出会いを経て、「働く人々の毎日や職場を、より生きがいを感じることのできるものにしたい」という志を持ち、新経営サービスに入社。
経営者と共に、人事制度をキッカケにして、組織で働く人を元気にできるコンサルティングを心掛けている。
設計段階から、先々の運用をイメージした、組織になじみやすい制度づくりを行っている。
全米・日本NLP協会認定 NLPマスタープラクティショナー。

※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。

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