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育児・介護休業法の改正と進む企業の支援策

2017年02月12日 カテゴリ:労務関連

執筆者:森中 謙介

人事戦略研究所 コンサルタント

大学院では会社法務・労働法務を中心とした法律学の研究に従事。新経営サービス入社後は、主に中堅・中小企業を対象とした人事評価・賃金制度構築のコンサルティングを行なう。労務管理の分野にも精通し、最近では「残業削減」をテーマにしたセミナーや雑誌記事の執筆「改正労基法への実務対応①~④(人事マネジメント誌)」など、精力的に活動している。

育児・介護休業法が改正され、平成29年1月1日から施行されています。特に今回は介護休業周りの改正が目玉となっており、今後各企業で社員の介護支援に向けた取組みが加速することも考えられます。改正内容についておさらいをしながら、法律以上の取組みを実践している企業事例についても簡単に見ておきたいと思います。

1.法改正内容
介護休業の分割取得を中心に、それとは別に所定労働時間の短縮措置が活用できるようになったことで、制度として使いやすくなっています。また、育児の場合にはあった「所定外労働の免除」が新設されたことも、介護をしながら働くという点で大きな変化です。

①介護休業の分割取得
今回の法改正の目玉であり、これまで実際に家族の介護をする社員から、使いにくさが指摘されていた部分です。
 【旧法】介護を必要とする家族(対象家族)1人につき、通算93日まで原則1回に限り取得可能
 【新法】対象家族1人につき通算93日まで、3回を上限として、介護休業を分割して取得可能

②介護休暇の取得単位の柔軟化
 【旧法】介護休暇について1日単位での取得
 【新法】半日(所定労働時間の2分の1)単位での取得が可能

③介護のための所定労働時間の短縮措置等
 【旧法】介護のための所定労働時間の短縮措置(選択的措置義務)について、介護休業と通算して93日の範囲内で
      取得可能
 【新法】介護休業とは別に、利用開始から3年の間で2回以上の利用が可能

④介護のための所定外労働の制限(残業の免除)
 【旧法】なし
 【新法】対象家族1人につき、介護終了まで利用できる所定外労働の制限を新設

⑤介護休業給付金の引き上げ
 【旧法】休業開始前賃金の40%(介護休業開始が平成28年7月以前の場合)
 【新法】休業開始前賃金の67%(介護休業開始が平成28年8月以降の場合)


2.先進企業事例
今回の法改正で使いやすくなった部分はあるものの、実際に介護をしながら働く社員にとってはまだまだ不十分であることも事実のようです。
政府の掲げる「介護離職ゼロ」の実現に向けて、社員の負担をできるだけ軽減するため、企業も様々な取組みを実施しています。下記に紹介する多くの仕組みは大企業の先進事例であり、多くの中小企業ですぐに実施できるものでは無いかもしれませんが、自社の考え方に合った内容を参考に、今後確実に増加する介護離職の防止に向け、少しずつでも準備を進めていっていただきたいと思います。

(1)パナソニック
2016年3月18日付けの同社発表で、親の介護に当たる社員の負担を減らすため、最大300万円の融資制度を4月に新設するとして、話題になりました。そのほか、介護で休業した社員に半年間は賃金の70%相当を支払う、年間9万円を上限に介護費用の半額を補助するなど、金銭面でのバックアップが充実しています。
介護休業や短時間勤務の仕組みも法律以上です。同社の「ワーク&ライフサポートプログラム」によると、介護休業は要介護状態の家族1人につき、通算365日休業可能。また、短時間勤務制度も充実しており、1時間または2時間短縮、半日勤務、週2~3日勤務等が、要介護状態の家族1人につき通算1095日まで選択できるようです。

(2)JFEスチール(以下は、2016年3月25日の各誌記事より抜粋)
JFEスチールでは介護休業期間をこれまでの最大2年半から3年間に延長するなど、非常に長期間の介護休業を認めています。法廷では93日ですから、特徴が際立ちます。ただ、世間的には、実際に介護にあたる社員からすると93日では準備期間にしかならずに足りないという声が多いようですから、現実的な問題に配慮した取組みと言え、制度を活用する社員の満足度は高いと言えそうです

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※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。