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配偶者控除150万円に引き上げなら、家族手当はどうする?

2016年11月20日 カテゴリ:人事制度

執筆者:山口 俊一

人事戦略研究所 所長

人事コンサルティング、講演、執筆活動を中心に活躍している。職種別人事をベースにした独自の発想と企業の実状に沿った指導により全国からコンサルティング依頼を受け、定評を得ている。現在までに中小企業から一部上場企業まで、200社以上のコンサルティング実績を持つ。主なコンサルティングテーマは人事評価・賃金制度の構築、組織運営など。

廃止が検討されていた配偶者控除ですが、一転して、現行の年収上限(103万円以下)を150万円(あるいは130万円)にまで引き上げる見通しとなっています。

もし引き上げが実行されれば、多くの会社が家族手当の見直しを迫られることになるでしょう。労務行政研究所の2013年調査でも、配偶者に対する手当がある会社では、68.1%が収入制限を設定しており、そのうちの約2/3が「所得税法上の控除対象(=年収103万円以下)」を判断基準にしています。

仮に、配偶者控除が150万円に引き上げられた場合、給与規程を変えなければ、これまで支給対象でなかった年収103万円超から150万円以下の配偶者に対しても、新たに手当が必要となります。これまで、配偶者控除や家族手当のために年収103万円以内に抑えるケースが多かったことから、実際には少人数かもしれませんが、人件費の増加要因ではあります。

そこで、所得税法上の控除対象を基準としている企業は、家族手当の配偶者分に対して、以下のような選択肢が考えられます。

 ①給与規程は変更せず、所得税法上の控除対象(今後は150万円以下)としておく
 ②社会保険の加入基準である130万円(従業員数501人以上の企業は106万円)以下に変更する
 ③これまで通り、103万円を上限とする

企業が何もしなければ①になりますが、たいして対象者が増えないのであれば、順当なところでしょうか。ただし、配偶者控除を引き上げると同時に所得制限が設定されそうですので、一部の高給社員は、手当の対象外となってしまいます。

次に、②社会保険の加入基準に変更する案ですが、大企業などは既にこの基準を適用している会社も多く、珍しい線引きではありません。不利益変更に当たるかどうかが気になるところですが、これまでの支給者が対象外になるわけではないので、不利益とはいえないでしょう。

最後に、③これまで通り103万円を基準とする案ですが、企業とすればコスト面からは選択したくなるものの、労働力拡大の政府方針に逆らうことにもなり、社内的な印象もよくありません。

選択肢①~③については、コストアップの試算を行い、判断することになるでしょう。

一方で、この機会に配偶者に対する手当を廃止し、子どもに対する手当を引き上げる企業も増えてきそうです。トヨタ自動車や国家公務員などは、この方向で進んでいます。経団連も、会員企業に呼びかける方針のようです。

ただし、このような改定の場合、「子どもへの手当をどのくらい引き上げるべきか」「家族手当が合計で減額になる社員にはどう対処するか」など、新たな悩みも出てきます。

それなら、一気に「家族手当全体を廃止して、その分を全社員の給与に均等で上乗せる」といった選択肢も考えられます。乱暴なようですが、単身者との不公平感解消にもつながりますし、今回のような税制改正にも振り回されずに済みますので、案外いい方法かもしれません。

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※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。