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定年再雇用制度は「守り」から「攻め」の時代へ

2014年05月19日 カテゴリ:人事制度

執筆者:山口 俊一

人事戦略研究所 所長

人事コンサルティング、講演、執筆活動を中心に活躍している。職種別人事をベースにした独自の発想と企業の実状に沿った指導により全国からコンサルティング依頼を受け、定評を得ている。現在までに中小企業から一部上場企業まで、200社以上のコンサルティング実績を持つ。主なコンサルティングテーマは人事評価・賃金制度の構築、組織運営など。

2013年4月の改正高年齢者雇用安定法施行から、早1年が経ちました。これにより、段階的ではあるものの、希望者全員の65歳までの雇用が義務付けられることになったのです。
施行直前には、とにかく法改正に合せなければならないという駆け込み企業が多数発生しました。ところが最近、そのような「とりあえず法対応組」を中心に再度、定年再雇用制度を見直したい、という会社が出てきました。自社に合った対応方法を改めて考えよう、という動きです。
何歳まで雇用するか、については法律に合せ段階的に引き上げるか、いっそ65歳(もしくはそれ以上)まで一気で引き上げるかくらいの選択しかありません。しかし、それ以上に重要な点は、雇用延長した期間において、どのような仕事をしてもらい、どの程度の待遇をするか、あるいはどのような方法で働くためのモチベーション維持と貢献を果たしてもらうか、ということです。

標準的な待遇としては、定年再雇用後は1年毎の嘱託契約とし、年収は定年前の60%程度、人事評価は行わないか形式的に実施、昇給や賞与の増減もない、といったところでしょう。要するに、「年収は下げる代わりに、法律で再雇用が義務付けされている年齢までは雇用を続けますよ」といった「守り」の印象なのです。

これでは、再雇用された人たちの力を十分に発揮できているとはいえません。


そこで、これからは「攻め」の定年再雇用制度が必要だと思います。60歳で定年を迎えたからといって、急に仕事の能力が落ちるわけではありません。もちろん個人差もあります。にもかかわらず、多くの会社が一律60歳で線を引いて、それまでと全く異なる人事管理をしているのです。

「攻めの再雇用制度」とは、再雇用者の個々人の能力や適性を判定し、それぞれの社員に応じた仕事内容と処遇を選択する。それによって、定年後もできる限りの組織貢献を果たしてもらうしくみのことです。

たとえば、
  A:管理職や高度専門職として、定年前とほぼ変わらない貢献を期待する社員
  B:管理職や責任の高い業務から離れ、通常業務による貢献を期待する社員
  C:勤務時間や担当部署を制限し、限定された業務による貢献を期待する社員
の3コースに分けてはいかがでしょうか。

当然、賃金水準もAコースは高め、Cコースは低めということになります。また、いずれのコースともに、役割基準を作成し、人事評価を必ず行い、必要に応じて昇給や賞与増減も行います。特にお勧めしたいのは、「目標管理」の実施です。よく定年前の社員には目標管理を導入しているのに、再雇用者には適用していないケースを見かけます。ですが、定年後こそ目標管理が必要ではないでしょうか。


定年後、その人の期待成果や業務はどう変わるのか。仮に後人の指導を期待するなら、「誰を対象に、どこまでの育成」を期待するのかを明確にすべきです。このあたりが不明確だと、マネージャーや周囲の人との関係から、窮屈な行動を強いられることになります。
また、一旦A、B、Cのコース分けをしたとしても、その後は毎年見直すことも重要です。定年後、モチベーションを維持し仕事をこなす人がいる反面、どうしても年収減などを理由に気力を失い生産性を大幅に低下させる人が出てきます。コースの定期的な見直しや、人事評価の実施、給与・賞与の増減は、このような無気力者を防ぐ効果があります。

 

雇用を継続する以上、その人たちに応じた働き方と待遇を行う。人事総務部門にとっては、やるべき業務が増えるかもしれませんが、会社と働く社員にとって重要な施策です。手を抜かず、自社にとって最適なしくみを考えなければなりません。

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※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。