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準備は万全ですか?~改正高齢者雇用安定法~

2013年02月25日 カテゴリ:労務関連

執筆者:森中 謙介

人事戦略研究所 コンサルタント

大学院では会社法務・労働法務を中心とした法律学の研究に従事。新経営サービス入社後は、主に中堅・中小企業を対象とした人事評価・賃金制度構築のコンサルティングを行なう。労務管理の分野にも精通し、最近では「残業削減」をテーマにしたセミナーや雑誌記事の執筆「改正労基法への実務対応①~④(人事マネジメント誌)」など、精力的に活動している。

いよいよ4月1日より高年齢者雇用安定法が改正され、「実質65歳定年時代」が到来します。改めて、改正法の内容と企業が取るべき対策について簡単に整理しておきましょう(詳細は厚労省Q&Aに詳細な解説資料がありますので参考にしてください)。

①継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止

今回の改正の目玉であり、これまで「継続雇用制度(いわゆる再雇用制度)」で利用が認められていた、労使協定で合意された会社が定める基準に合致しない社員については「再雇用を拒否」できる仕組みが利用できなくなり、今後は該当者が希望すれば、原則65歳までの再雇用が義務付けられることになります(65歳定年制になったわけではありあせん)。但し、全く利用できなくなるわけではなく、厚生年金の受給開始年齢に合わせて例外的に再雇用基準を利用できる経過措置が今後12年間設けられることになっています。例えば、平成25年4月1日から平成28年3月31日までは、61歳の社員から再雇用基準が利用でき、その後段階的に利用できる年齢が引き上げられ、最終的には65歳までの差雇用が義務付けられます(この段階で、65歳定年の議論が出てくるものと考えらます)。
さて、この「経過措置」ですが、2013年4月1日の改正法施行までに締結されている労使協定に関してしか適用されません。すなわち、現時点で再雇用基準に係る労使協定を結んでいない場合には、経過措置を利用することが完全に出来なくなりますので、準備がまだの場合は緊急を要します(随時ご相談をお受けしておりますので、お気軽にお問い合わせください)。既に65歳定年あるいは定年延長としている、再雇用拒否は考えていない、という場合は問題ありませんが、それ以外ではリスクヘッジの一環として再雇用基準を設けておくことは必須と考えられます。くれぐれも「気が付かなったまま」4月1日を迎えることのないよう注意してください。

②継続雇用制度の対象者を雇用する企業の範囲の拡大

余り知られていないように思いますが、再雇用する先は自社に限らず、子会社などでも良いことが法的に認められています。これまではその範囲について曖昧な部分がありましたが、今回の法改正でグループ企業まで幅広く再雇用先として認められることになり、またその条件も明確に示されました。関係会社間との調整は必須と思われますが、今後は戦略的に子会社、関係会社で再雇用する事例も増えてくることが予想されますので、該当する場合は検討してみるのも一案でしょう。

③義務違反の企業に対する公表規定の導入

一連の法改正を含めた、高年齢者雇用確保措置義務に違反した企業については、行政の 勧告に従わない場合、企業名が公表されることとなりますので、法対応には一層の注意が必要になります。

④厚生年金受給開始年齢の引き上げ

最後に、高年齢者雇用安定法との関係で別に把握しておくべきことがあります。同じく4月1日から、厚生年金の報酬比例部分の受給開始年齢が引き上げられ、60歳からの1年間が無年金となる問題(いわゆる2013年問題)です。厚生年金受給額はもちろん個別に違いますが、多い人では月額6~7万円程度の収入減となります。
再雇用後の賃金も一般に定年前の60~70%に抑えられていることが多いことからも、再雇用者の生活保障、モチベーションの観点から企業に課題が投げかけられています。もちろん企業に年金分を保障する義務はありませんが、今後再雇用者が増加すること、人材活用の面でモチベーションを維持することが今まで以上に重要になることを鑑みれば、どのような対策をとるか、早急に方針を打ち立てる必要があるのではないでしょうか。

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※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。